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情報公開請求と情報提供制度の振分けについて

情報公開請求を進めていると、担当職員から「情報提供に切り替えませんか?」と提案を受けることがあります。また、東京都等では情報提供システムが提供されておりさまざまな情報を、情報提供で集めることができます。東京都情報提供サービス
情報公開請求と情報提供サービスはどのような違いがあり、どのように利用することが有効なのでしょうか?

この記事では、情報提供制度について書いていきます。

東京都中野区行政書士事務所である、当事務所では情報公開に係る代理等の事務を行っております。

情報提供の要点(情報公開と対比して)

利用者の立場からすると。

利用者の立場から、情報提供の要点をあらかじめまとめますと以下。
1,行政機関等の裁量で進められる事務である。そのため
ア、不服申立てをすることが困難である。
イ、情報提供されるまでの期限がない。
ウ、事務対応が簡易である。
エ、費用が低廉で済む可能性がある。
オ、情報公開条例上の開示権者に該当しない場合でも、情報提供してもらえる場合があり得る。
カ、質問への回答として、公文書の公開でない形の情報がもらえる可能性がある。

担当職員の立場からすると

1,担当職員の裁量で行う事務であるので
ア、審査請求を進められる可能性が極めて低い。
イ、期限がない。
ウ、文書の特定も裁量で行うことができるので、特定漏れ等の心配がない
エ、情報公開手続きでは認められていない事務方法を利用することができるので、柔軟迅速に事務を進めることができる。
オ、条例にもよるが、費用の謄写代の請求事務を行わないことができる。
カ、公文書の公開でなく、回答という形で文書を公開することができる。

情報提供の性質

 情報提供は、情報の提供をお願いするというものです。これに対して、情報公開請求は、情報の公開を権利として請求するものです。
 すなわち、情報提供は権利として法定されている手続ではないので行政の裁量で柔軟な対応をすることができるのです。
 例えば、情報公開条例で「開示請求の申請書は郵送により受付ける。」と定められていたとします。行政事務は、法律(条例)により進めなくてはなりませんので、開示請求の申請書は郵送で受付ける必要があります。このとき、情報提供であればメールで申請書を受付けることもできます。
 このように、情報提供は、法律(条例)による事務手続に対する縛りがありませんので、職員の裁量を最大限に生かせる制度であるとも言えるでしょう。

不服申立て(審査請求について)について

行政庁の処分に不服がある者は、行政不服審査法に基づいて審査請求をすることができます。

(処分についての審査請求)
第二条 行政庁の処分に不服がある者は、第四条及び第五条第二項の定めるところにより、審査請求をすることができる。
 ここで、何が「処分」にあたるのか?が問題になります。
 例えば、X市に情報提供をお願いしたところ、断られてしまいました。この「断られたこと」は処分に該当するのでしょうか?
 処分に該当するか否かの判断にはさまざまな学説がありクリアカットすることは困難であるとおもわれますが※1、実務では判例に沿った判断がなされる可能性が高いので、この記事では、有名な判例に沿って考えます。
 処分であるためには、国民の権利義務ないし法律上の地位に直接具体的な法律上の影響を与えるものでなければならないとする有名な判例があります(最判昭和39年10月29日東京都こみ焼却場事件)。
 上述のように、情報提供制度の利用は「行政等へのお願い」であります。そうすると、権利が傷つけられたとも言えませんし、請求権が否定されたわけでもありません。
 結論として、情報提供のお願いを断ることは、処分に該当しない。よって、行政不服審査法上の審査請求を行うことはできない。と考えて行政実務が進む可能性は高いです。

※1処分と公権力の行使の関係 松塚 晋輔 九州法学会会報2015年 2015 巻発行日: 2015年 jstageで読めます。

法定されていないからこそできる、軽やかな事務運び

 情報公開請求における、情報公開条例をみてみると、事務の運びも例規で定められていることが多いことが分かります。また、例規に基づいて各々の行政機関で情報公開事務マニュアルが作成されております。東京都総務局情報公開事務の手引き
 職員はこのような情報に沿って事務をすすめます(法律条例による行政の原理)。そうすると、そこに記載のある方法でしか対応しずらい状況にあります。
 例えば、・意思確認は電話で・支払方法は現金書留で・公開方法は紙の写しで、などなどの場合に、マニュアルに沿った形で事務を遂行する傾向があります。
 これに対して、情報提供では例規に規定がありませんので職員の裁量で事務を組み建てることができます。
 申請者の状況に合わせた柔軟な対応をすることができます。

情報提供をどのように利用することが有効なのでしょうか?

住民の側からみると、どのような場合に情報提供制度を利用することが有効なのでしょうか。それは、情報公開請求を行っているときに、情報提供への切替を求められたときにそれに応じるか?という問題にも対応できるものです。

情報提供と情報提供を比べた場合での、情報公開請求の利点は次の点があります。
1,期限が法定されている。
2,不服申立てができる。
そうすると、期限を明確にしたい場合と不服申立てが予想できるものは、開示請求を選択した方がいいと言えるでしょう。
 不服申立てが予想できるものとしては、開示請求書記載の文言(以下、請求文言という。)が不明確であったり解釈で分かれたりする場合があると考えられます。また、文書の保有状況に疑義がある場合にも、情報公開請求を選択することが有効であると考えられます。
 上述に当てはまらないのであれば、情報提供制度を利用することが有効であると言えます。具体的には
① 以前請求した公文書をふたたびとる場合。
② 公表されている情報に基づき関連情報を請求するなど、開示される可能性が高く請求文言の解釈の幅がない場合。
このような、情報は情報提供による手続きが適していると言えるでしょう。

情報公開以上に有効に活用する(加工情報の取得)

 情報提供には、優れた面が一つあります。情報公開以上に情報を取得できる場合があるのです(もっとも、ご対応いただけるかどうかは職員の任意)。
 情報公開請求では原則として、あるがままの情報が公文書として公開されます。例えば、「○○の情報」と請求したとしたとすると、○○の情報が記載された公文書がそのまま公開されます。言い換えますと、職員は、開示請求された文書のうちの情報を加工して提供する義務はありません。また、加工することは労力がかかることでありますので、加工するべきではありません。
 他方、情報提供では(回答)という形で情報を提供することができるために、情報の一部をまとめて、回答してくれることがあり得るのです。
 もっとも、情報提供はあくまでもお願いベースのものでありますので、ご対応いただけるかどうかはわかりません。

 

 

 

 

 

 

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北原 伸介

情報公開請求や公文書の管理に関心が強い行政書士。 taroimo1030@gmail.com (電話)080ー7172ー8669 (FAX)03-6850ー8573 お問合せは無料です。文書に関するものでしたらあらかじめFAXいただくとスムーズです。