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東京都カスハラ条例の制定に動く。

 カスタマーハラスメントという文言について、統一された定義は無いようであるが、厚生労働省では「顧客や取引先からのクレーム、言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により労働観協が害されるもの」
 上記のように、厚生労働省はカスタマーハラスメントの定義に関して、慎重な表現をおこなっている。もっと平たい表現でいうのであれば「不当、不法な顧客等からの意見、行為」ということができそうである。
 お店や企業はお客様や取引先等からさまざまな意見を言われることがある。そのような意見を重要視する企業もある、顧客からの意見には企業にとって重要な意見が含まれていることから、経営の改善に役立つと言うだ。
 他方で、意見とは言えないような不当な言動は、スタッフを疲弊させるし時間も取られてしまうしロスでしかないことは、社会の共通認識となりつつある。
 そうした意見等は窓口に寄せられることが多い。しかし、窓口担当者は決裁権を持たないから、そのような行為は意見表明としては不適当となる場合が多い。窓口のストレスが溜まるだけである。
 意見を言うことができる部署にお客様を誘導することが考えられる。けれども、不当な意見を故意にいう者は誘導されることすら毛嫌いする可能性もあるであろう。その結果窓口が対応することにならざるを得えない。そんなとき、対応策をもたない組織の窓口はいわばサンドバッグ状態として不当な意見を聴き続けることもあるという。なんとも不条理な社会だ。
 メンタルや仕事のやりがいにも影響が出るであろう。そのような環境を放置している企業だって、従業員に対する「安全配慮義務」に欠ける面があることは否定できない。しかし、カスタマーハラスメントに関しては、単なる意見表明と不当な意見要求との線引きが困難であること、他にも様々な論点があることから、中小企業による対応は困難であるという。もはや、立派な社会問題である。
 そうした、カスハラは近年増加傾向にあり、世論による問題意識は強まっている。
 そんななか、東京都ではカスタマーハラスメントに関する条例を制定する方向で行政が動くとのことだ。これは全国でも初めてのこころみである。国としても、東京都が先行して条例を創ることには前向きだ。いざ、法制するときにやりやすくなるからだ。
 東京都では条例の制定へと動く前からカスタマーハラスメントに対する検討部会を立ち上げていた。令和5年10月から開催された同部会では、有識者により様々な意見が活発に交換されている。東京都HPリンク
 有識者には、中小企業組合や労働法の専門家、行政法の専門家などが選ばれて多角的な分析が行われている。
 検討部会からは、おおむね以下のような意見が出ていた。
・カスハラ問題は中小企業のみで対応することは困難である。
・そのため、条例やガイドラインを通じて東京都に支援して欲しい。特にどのような行為がカスハラに該当するか類型を示してほしい。
・条例を策定するに当たり、努力義務でとどめるのではなく「都民の責務」との方向を打ち出し「カスハラ」をしてはならないとの方向にするべきである。
・カスハラの態様はさまざまである。条例では大枠を取りまとめて、産業別のガイドライン等を作成して中小企業をサポートして行く。
・行政職員に対するカスハラは特に多く、職員の負担は相当なものである。そのような 状態は早急に改善する必要がある。
 上記のような意見は検討部会の一部である、詳しくは部会の議事録を除いてみて欲しい。
 検討部会を読むと、条例の制定とともに、産業別のガイドラインを作成するという流れになりそうだ。その際には、中小企業組合や商工会の意見が強く反映されることになると考えられる。
 なぜなら、そうした組織は東京都事務方との連携を日頃から行っているし、都としてもそうした組織を通じて政策を推進するとのやり方は伝統としてあるからである。 組合や商工会に入っている企業は、自社の意見を聴いてもらえる可能性もある。
 一方で、そのような団体に入っていない企業や事業主も多いと考えられる。そのような場合でも、条例制定時の意見公募手続き等で意見を言うことができる。請願として提出してしまうことも手でかもしれない。
 カスタマーハラスメントの性質から言って、現場に即したガイドラインの作成が求められる。現場の事をよく知る従業員の意見は非常に大切であることは言うまでもない。従業員というのはアルバイトでもいい、引退した人でもいい。
 本件条例に際しては、意見が反映されるチャンスかもしれない。
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