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新宿区の情報公開制度

中野区行政書士の北原です。このページでは、新宿区の情報公開制度に関して書いていきます。

新宿区の情報公開制度に関するページリンク

なお、新宿区の情報公開条例(以下、条例)として書いています。

新宿区の情報公開制度の特徴

 目的規定には「知る権利の保障」が明記されています。知る権利に関しては、いまだ抽象的な権利であるとか概念が不明確であると評価されています。そのことから、条例での明記に慎重な自治体もあるところ、新宿区では条例第1条で知る権利に関して明記されています。

利用者の債務(3条)

 新宿区の条例には利用者の債務に関する条文が規程されています。「この条例の目的に即した請求に努めることとし、公文書の公開を受けたものは、これによって得た情報を適正に使用しなければならない。」と書いてあります。
 目的は1条に明記されており、
① 区民の区政への参加の促進に寄与し
② 国民の理解と信頼の上に立った公正で民主的な区政の実現にしすることを目的とする。
とされています。
 これらの目的に沿って、情報公開制度を利用する努力をしてほしいこと。得た情報を適正に使用しなければならないこと。とされています。
 しかし一方では、情報公開制度の限界に鑑み、積極的に情報を公開することを総合的に推進すことを条例で明記していると説明されています(条例16条)。
 また、不開示決定を受けた際に時の経過により開示できる時期がある場合にはその旨を明記することとなっています。公開できる時期の明示は、中野区杉並などになくとてもユニークな感じがしますし、情報公開制度に前向きな制度として評価できそうです。

法律との対比

 情報公開法では、制度の利用に対して利用者の債務を定めるような規定はありません。目的に関しても同様定めれれていません。
 情報の流れの自由を確保することが公開法の目的の一つであるところ、厚生労働省ガイドラインでは「利用者の請求の目的等を明らかにすることについては、あくまで任意であることに留意する必要がある。」との取扱がなされています(厚生労働省情報公開文書室「情報公開の手引」平成21年5月。
 新宿区では努力規定であるものの公開制度を、区政への参加、公正で民主的な区政の実現のために利用することという大枠で囲っています。
 さらに使用の対象も定めていることから、新宿の情報公開条例は情報公開制度に関しては「やや消極的である」と判断することがきそうです。
 もっとも、新宿区の開示請求書にある目的欄には「任意」の記載があるので上記の条例の取扱に関しては穏やかな運用がなされている感じがあり、条例の意図が不明瞭であるとも感じます。
 以上のような条例が、いわゆる「上乗せ」「横出し」と評価されるかどうかは問題になります。

手続に関して

・開示手数料は無料です。他に謄写代などの費用があります。
・公文書の検索に必要な資料を作成し一般の利用に供することとしています(19条)。
・区長は実施機関に対し、情報公開制度施行の状況についての取りまとめをし、その概要を公表するものとするとされています(19条)。
・指定管理者に対しても、公開をおこなうために必要な措置を講ずる義務を定めています(20条)
・ファックスでも行うことができます。

審査請求に関して

特徴的な制度として14条1項3号があります。

 

14条 実施機関は、公開決定等について審査請求があったときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、新宿区情報公開・個人情報保護審査会(以下「審査会」という。)に諮問しなければならない。この場合において、当該審査請求については、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第9条第1項本文の規定は、適用しない。

(3) 審査請求(第10条第4項の時期が到来した後、初めて行われた公開請求に対して行った公開決定等に係るものを除く。)が、当該審査請求を行ったものによって既に行われた他の公開決定等に対する審査請求と同一の内容のものであって、当該他の公開決定等に対する審査請求について、現に実施機関が審査会に諮問し、又は既に審査会が実施機関に対し答申を行っているとき
 この不服申立に関する条文には注意が必要であると感じます。判例や答申にはいわゆる「射程」があります、「同様に見える事実」の審査であっても微妙な事実関係に対応した違いがあります。それらを判断することが実施機関により行われることは好ましいと思いません。 射程の検討は、専門的で中立的な立場である審査会で行われることが望ましいと考えます。
 また、上記の理由で諮問の機会を奪われた開示請求者は、審査請求により救済を受けることになります。
 その場合に、上級庁が行うことになると思いますが上記の「射程」の検討は思ったよりも大変な作業となることが予想され、事務の負担が増えることも予想されます。このあたりの状況は調べてみないと分かりませんが、注目点であると考えます。

様式、資料等

・請求書様式、費用等の説明 新宿区HPリンク
・令和3年度(文書管理基準表) 新宿区HPリンク  当事務所過去記事(情報公開)標準文書保存期間基準(保存期間表)を使う。
・情報公開制度及び個人情報保護制度の運用状況令和3年新宿区 リンク
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北原 伸介

情報公開請求や公文書の管理に関心が強い行政書士。 taroimo1030@gmail.com (電話)080ー7172ー8669 (FAX)03-6850ー8573 お問合せは無料です。文書に関するものでしたらあらかじめFAXいただくとスムーズです。

Posted by 北原 伸介