建設業の許可、経営業務の管理を適正に行う能力要件について。
建設業許可では、許可要件の1つとして申請者に経営業務の管理を適正に行うに足りる能力があることを要件の一つとして求めています。
経営業務の管理を適正に行う要件としては以下の2つの要件のいずれかを満たすことが基本的に必要となります。ロ、の要件については令和2年に新設された要件となります。ロの要件での申請を行う場合には東京都に事前に相談を受けておいた方がいいと思います。
イ、要件を満たす者が常勤役員等の一人にいること。
ロ、建設業に関する経営体制を有していること
イ、の要件はさらに3つに分かれます。イ(2)の要件は主として取締役会設置会社を念頭においた規定となっているため、御社に○○会を設置していない場合や個人事業の方はイ(1)を参照していただければと思います。
以下では上記イの説明を行います。
目次
建設業法施行規則7条第1号イ(1)
イ(1)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
原則として、法人の場合は取締役、個人事業の場合は営業取引上対外的に責任を有する地位にある者です。経営業務の執行等建設業の経営業務について総合的に管理した経験を有することが必要です。
そのことを証明するために「役員としての5年の経験の年数」+「その期間において建設業を経営していたこと」を証明する必要があります。
・「役員としての5年の経験を有すること」→「履歴事項証明書」、個人事業では「個人確定申告書」
・「その期間において建設業を経営していたこと」→「建設業許可関係書類」で証明する。建設業許可業者でなかった場合には、「期間通年分の建設業に関する工事請負契約書、請書、「注文書や請求書と入金を確認できる通帳のセット」などで証明します。
イ(2)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者
イ(2)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者
1,準ずる地位にある者であることを証明
取締役会設置会社である場合に、建設業務執行に関する権限の委譲を受けて、取締役会で定められた業務方針に従って、代表取締役の指揮及び命令のもとに、具体的な業務執行に専念した経験を有することを証明します(資金、資材の調達のみなど建設業務の一部だけの業務を除く。)5年間の証明が必要です。以下の証明を行います。
□その経験が取締役等に次ぐ職制上の地位においての経験であること。→「組織図」その他これに準ずる書類。
□その経験が建設業に関する事業部門であることの証明→「業務分掌規程」その他これに準ずる書類→確認できない場合「社内規定」その他「決裁文書」「稟議書」など。
□取締役会の決議により特定の事業部門に関して業務執行権限の委譲を受ける者として選任されたことを確認する資料。→「定款」「取締役会の議事録」「取締役会規則」「取締役会就業規則」など。
□執行役員等の経験期間5年以上を確認できる資料→「取締役会議事録」「人事発令書」その他これに準ずる書類。
2,証明期間において、建設業を経営していたことの証明
「その期間において建設業を経営していたこと」→「建設業許可関係書類」で証明する。建設業許可業者でなかった場合には、「期間通年分の建設業に関する工事請負契約書、請書、注文書や請求書と入金を確認できる通帳などで証明します。
取締役会設置会社では、求められる書類の難易度も高くなっている印象を受けます。議事録などを後から作成することはできません(議事のあった事実を示すものがないため偽造にもなり得るから)。将来の建設業許可取得を考えるのであれば、日ごろの作成書類にも注意しておく必要があると感じます。
イ(3)建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として、経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者
1,経験内容が、「役員等に次ぐ準ずる地位にある者が、経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験(6年以上)であること」を証明します。
□ 経営業務の管理責任者である役員等を直接に補佐していたことを証明→組織図等
□ 経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験期間(6年以上)を証明します。→「人事発令書」その他これに準ずる書類
□ 部門のあるような組織によっては、経験内容が建設業に関する部門であることを証明→「業務分掌規程」その他これに準する書類、追加資料として「決裁文書」「稟議書」などで業務内容の詳細を確認。
この要件は、家族で事業を行っていたような場合の救済をも射程としている規定であるように思います。そのような事業主が組織図などをつくるとは思えませんし柔軟な対応が見込める要件であるように感じます。書類が無くともあきらめるのでなくお問い合わせくださいまし。
2、証明期間において、建設業を経営していたことを証明する資料
「その期間において建設業を経営していたこと」→「建設業許可関係書類」で証明する。建設業許可業者でなかった場合には、「期間通年分の建設業に関する工事請負契約書、請書、注文書や請求書と入金を確認できる通帳などで証明します。
北原 伸介
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