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情報公開と国家賠償事件(期限の延長に関して)大阪地判令和5年2月21日

このページでは、判例を題材にして情報公開制度を考察しています。記事の文章は筆者が簡略化して説明してある場合があります。事務を行う際には原文も参照して頂きますようお願い申し上げます。なお、当事務所では情報公開に関する事務を行っています東京都中野区 行政書士 北原伸介のホームページです。

事件情報

令和5年2月21日判決 大阪地方裁判所
令和2年(行ウ)138号 違法確認等請求事件
裁判所判例検索HPリンクPDF

事案

原告の開示請求に対して、内閣総務官が行った開示決定の延長(情報公開法10条2項)は国家賠償法上の責任がある違法なものであるとして争われた。
争点
1、内閣総務官が開示決定に対する延長は、国賠法1条1項の適用上違法であるか。
結論
本件に関しては違法とはいえない。

原告の言い分

・開示請求があったあ場合には原則として30日以内に開示決定をすべきであり、開示決定等の期限を延長するのは例外的な場合に限られる。

(原告)
本件開示請求は
①文書の検索、特定が容易である。
原告の作成した開示請求書は
・文書管理規則の条文を指摘し作成者を示す。
・文書の名称を示す
・文書の作成者を示す
などして容易に文書の検索が容易である。

 

②不開示情報の記載の判断も容易であった。
・開示された文書は47頁で分量が少ない
・請求対象文書は、行政文書に関する管理の規範を定めた文書であるから、不開示情報に該当するか否かの審査もほとんど必要ない。

それなのに「事務処理所の困難その他正当な理由(情報公開法10条2項」があるとして内閣総務官が行った延長は国家賠償法上も違法であると言える。

※本件で開示されることになった文書は
・内閣官房行政文書ファイル保存要領
・内閣官房における行政文書ファイル等の集中管理に関する方針
・内閣官房が保有する保存期間1年未満の行政文書ファイル等の取扱について
・内閣官房文書取扱規則
である。

裁判所の認定事実

令和2年9月8日開示請求受付~
1,Aは文書の所管である部署を特定するために、調整担当職員である主査等に指示して、内閣総務官室のすべての担当に対して照会を行った。
2,調整担当職員は令和2年9月22日までに1の結果と文書の検索に関して取りまとめ報告した。
3,Aは報告の内容に開示請求の対象とならない可能性のある文書が含まれていると思慮したことから調整担当職員に対し総務担当に再検討させるように指示した。
4、令和2年10月はじめ、調整担当職員は本件開示請求に関する文書の特定に関して判断しAに報告した。
5,文書の特定が終わり不開示情報の判断が必要になる。その際Aは下記の理由により期間の延長をすることを判断し上司(内閣参事官、内閣審議官、及び内閣総務官)の了解を得た。その後、内閣総務官が本件延長決定を行った。
①対象文書の枚数が50枚以上で少ないうえに、今まで開示されたことのない文書であったのでノウハウがない。
②開示請求全体の件数が急増していて、他の開示請求も延長をしていた。また、今後もの多くの開示請求を受ける事が予測されていた。
③新内閣の発足に伴う事務棟他の業務も繁忙であった。
6.令和2年9月ころにおいては、新型コロナウイルス関係の事務もあり繁忙であった。
7,原告は、他の行政機構にも本件と同じような開示請求をしていた、このうち少なくとも30以上の省庁が30日以内に開示決定を行っていた。←(裁判所)異なる行政機関に対して類似する行政文書の開示請求をした場合であっても、開示決定等の期限を延長するか否かは当該行政機関の繁忙等の個別的な事情により異なる。

裁判所の判断

判断の枠組み

情報公開法10条2項「事務処理上の困難」とは30日以内に開示することが、当該行政機関にとって困難であることを意味すると解さる。その判断に当たっては、開示請求に係る行政文書の多寡、開示請求にかかわる行政文書の検索の難度、開示不開示の審査の難易、第三者からの意見聴取の要否、時期における他に処理すべき開示請求事案の多寡のほか、当該行政機関の他の事務の繁忙、勤務日等の状況を考慮すべきものと解するのが相当である。

本件開示請求について

文書の検索作業は全体として容易であったとはいえない。
・本件開示請求は5件の文書の開示を求めるものであり件数としては少なくない。
・原告請求書の記載は、文書の特定が容易なものもあるが他方では文書の内容の概要のみが記載されているにとどまり文書の特定の程度が低いものもある。特に作成者の役職名等により文書特定の指示がなされている場合には、当該文書のほかにも対象となる文書が存在する可能性があるため文書の検索を慎重に行わなければならないものがある。
開示不開示の審査の難易度
・本件開示対象文書はその性質上、不開示情報が記載されている可能性は低いとの蓋然性がある。
・他方で、過去の開示請求を参考に事務を行うことはできないうえ文書の枚数は47枚にわたり一定の分量があった。そして、その文書を所管する担当が異なり複数の担当における作業が必要であったことに照らせば、文書の不開示部分の審査に一定の期間を要することはやむを得ない面があった。
本件開示請求当時の業務は繁忙であった。
結論
本件延長については、当時の状況から客観的にみて、情報公開法10条2項の「事務処理上の困難」があったのであり事務処理は適法である。

感想

 本件の開示請求で開示された文書は、いずれも行政文書の事務取扱に関する文書である。そのような文書は、開示することが容易であるとも考えられる。しかし、開示請求文書の特定に必要な事項記載の内容によっては、公開請求事務に多くの検索を必要とされる場面が発生することがあるとのこと。

 

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北原 伸介

情報公開請求や公文書の管理に関心が強い行政書士。 taroimo1030@gmail.com (電話)080ー7172ー8669 (FAX)03-6850ー8573 お問合せは無料です。文書に関するものでしたらあらかじめFAXいただくとスムーズです。