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1の情報公開請求を各課に申請しなければならないとする取扱いの問題

この記事では、地方自治体における情報公開請求事務についての問題点を書いております。想定している場面は、一つの情報公開請求が各課にまたがる場合において、申請者が各課に申請をしなければならないというときです。

当事務所(東京都中野区北原伸介行政書士事務所)は、情報公開請求における事務を取り扱っております。

1,問題

情報公開請求は、申請者が知りたい情報の提供を、地方自治体の実施機関に申請することから始まる。

申請者が知りたい情報が、実施機関の様々な課に散らばっている場合がある。例えば、「知事(市長)が統括している部局における、交際費の領収書(令和〇月分)」を開示請求したとすると、その文書は、総務課、環境課、建築課等の複数課が保有している。このような場合に、多くの自治体では総務課等が各課から保有文書を取りまとめて、申請者の請求に対応する事務の取扱が多い。

しかし、一部の自治体においては、申請者が保有している課に直接申請書を提出しなければならないとする取扱いをしている「以下、各課対応という」。この記事はその取扱に対する批判を試みるものである。

2,各課対応が必要な場合の申請者側の事務

各課対応が必要な場合に、申請者の負担が大きくなる。以下分かりやすいように全庁調査が必要な場合40課に対して情報公開請求を行う場面を想定する。申請者(国民)の対応は以下のようになる。

1,開示請求書を40枚作成
2,40課からの連絡対応(1課3分とすると120分)
3、40課への開示実施手数料の支払、その他の事務
4,40課からの開示文書の受取

このように申請者への負担は大きなものになる。なお、総務等が取りまとめてくれる場合には1回の対応で済む。

開示請求書40枚作成の問題点

開示請求書を40枚作成することは、国民に対して大きな負担となる。開示請求書は、自治体HPからダウンロードすることが多いが家庭にあるプリンターはインク式であると思われるし、インクの消耗も激しい。仮に1枚10円のコストがかかるとして400円かかることになる。
また、作成した請求書を、各課に対して郵送しなければならない場合がある。40課に対して宛名を書く必要がある。110円切手で送るとして4400円のコストがかかる。

40課からの連絡対応

情報公開請求で連絡が来る場面は①請求内容の確認、補正②決済手段の連絡である。連絡事項が無く、スムーズに事務が進む場合もあるが、40課との連絡を行う必要があるときもある。
 このとき、電子メールでの連絡をお願いしておく方法が考えられる。しかし、どのような方法で連絡するかは、担当職員の裁量による部分であるから電話対応が必要なときもある。
 多くの国民は、平日の日中は、それぞれの仕事に励んでいることから電話対応は大きな負担となる。

40課への開示実施手数料の支払、その他の事務

 開示決定が出ると、開示実施手数料の支払をする。
支払の手段としては
①現金書留の送付(封筒込み630円程)、または郵便為替の送付(小為替2枚で400円程+郵送110円)
②郵便局対応の納付書 0円
③指定銀行窓口での納付書での支払い (指定銀行の場合0円他銀行の場合600円~800円程)
等の手段がある。費用の点でいうと
現金書留630円×40課=25200円
他銀行から指定銀行への振り込み700円×40課=28000円
である。
 また、窓口での支払には時間がかかる。40課であると30分~50分程度は金融機関で待つことになる。また、金融機関窓口も大変であるので問題であると言わざるを得ない。総務課等で取りまとめていただけると、このような混乱はない。

40課からの開示文書の受取

40枚の封筒を開けることになる。大変である。

 

3,ここまでのまとめ

 上述のように、各課対応は物理的にも費用的にも国民にとって酷な負担を課す取扱である。特に費用の面では数万円かかることになる。費用が問題で情報を取れない国民がいることは疑いのないような数字である。
 他方、総務課等が取りまとめる取扱いの場合には、多くても1300円ほどで情報を取得できることになる。このような格差が地方自治体にあることは、政策立案担当者や地方議員は知っているのであろうか。
 最後に、本当に厳しい現実が待っている。それは、開示決定に対する「不服申立も40課」行わなければならない取扱いをしている自治体があるということである。

4,なぜこのような取扱いになるのか?

結論から申し上げますと、上記の各課対応を基本としている取扱いに関しては、開示請求の受付から決定までを「各課が責任をもって行う」としている点にある。
ところで、ほとんどの情報公開条例は、申請書を「実施機関」に提出しなければならないと規定してる。
そうすると、「実施機関の各課に提出」を求めることは法定されていない。
 また「各課が責任をもって対応する」ということは、結局のところ内部におけるルールに他ならない。なぜなら、各課が責任をもって対応しなければならないとしても、決定は「実施機関の名前」で行われるからである。

開示請求1件の概念が共有されていない。

 開示請求書を各課に提出しなければならないということは、実施機関が同じで、同じ情報を「開示請求1件」とは考えていないことである。
 情報公開法では1件の考え方として「相互に密接な関連を有する複数の行政文書」としている。当事務所記事「件数について」
 情報公開法は、地方自治体の情報公開条例に適用がないのであるが(情報公開法2条)、情報公開法の趣旨にのっとり必要な施策を講ずることを努力義務としているから(同法25条)、情報公開法の1件の考えかたを取り入れることの検討も必要であろう。

各課対応の取扱を改善をしていただきたい理由

 情報公開法は「国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資する」ことを目的とした制度である(情報公開法1条)。
 費用に関しても、できる限り利用しやすい額とするように配慮しなければならない(情報公開法16条2項)。
 これらの情報公開法の原則的な規定は地方自治体には、適用がない(情報公開法2条)。しかし、法律の趣旨にのっとり施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならないはずです(情報公開条例25条)。

費用についての問題

費用についても、住民に大きな負担をかける、特に申請書の郵送費用,費用納入時に支払う金融機関手数料は各課の数に応じて乗じることになる。

金融機関手数料に関しては、指定銀行外での支払いは1件600円~900円もの費用がかかる。40×600円でも2400円となる。

役所の側から見ても、開示決定書の送付料等が40課だとすると、40倍かかることになる。役所の費用の増大は結局のところ税金で負担することになるので、やはり住民の負担となる。

また、申請者側の費用の増大は「情報格差」を生じさせる。たとえば、企業にとっての24000円と個人にとっての24000円では、おなかの痛みが異なるだろう。

取扱いの変更は、国民へのアピールチャンス

 情報公開は、住民の知る権利に資するものである。そのため、制度の拡充は、住民から歓迎される可能性が高い政策である。すなわち、議員の政治的アピールや市区長の政治的アピールに適している政策であることは疑いようがない。
 また、上記のような「各課で対応すること。」は条例に書いてあるわけではない「実務的な取扱」であるために、議会の議決が必要ない。ようするに、思い立ったらすぐ提案できる内容のものである。

発展)コラム?行政指導として申請を進めることもあり得るか?

上述のように、①条例上では、「各課」に開示請求書を提出するとうことが書いていないこと②それゆえ「各課で対応する」というルールは、行政機関内部の事務取扱ルールでしかないことを考慮すると、役所側からの「各課に提出して下さい」という要望は、役所側からのお願いにすぎない(専門用語で行政指導という)のである。
 行政指導は行政手続法2条6号では「行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。」と定義されている。指導・勧告・助言であることから、国民が従うか否かは自由に判断できる事項であることが読み取れる。対比として、日本国憲法第30条「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」は国民の義務であり、従わなければならないと法文は示している。
※ 行手法3条3号では、「地方自治体の行政指導には、行手法6章までの規定の適用がない」と書かれているが、括弧書きで「その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。」としている。地方自治他の条例は、行手法の条文構成を基にして書かれていることがほとんどなので、この括弧書きに該当すると思われるが、各々の事務に必要な場合には条文の確認が必要である。

いわゆる行政指導だから従わなくともなのだけれども。

各課対応が行政指導であることが多いことを書いてきた。行政指導であれば国民側としては、従う必要が無い。また、わが国の歴史では、行政機関が行政指導を、国民との交渉の手段として、常に活用してきた背景がある。そのため、行政手続法第4章は行政指導の乱用を抑制するために、詳細な規定を条文に記載している。

行政指導はお願いでしかないから、押し通すことができる可能性は高いと思われる。
しかし、それでいいのかとも思ってしまう。
なぜなら、担当職員に負担が集中してしまうからである。
「各課対応」をするという事務取扱の問題は、組織的な問題であるから、組織として議論して改善する必要がある。担当職員に無理を言って負担をかけたところで、「今回のみの例外的取扱」として組織的な改善にはならない。
そこで、組織的な問題にする手段としては下記の方法が考えられる
① 長からの指摘
② 議会での議論
③ 国民からの批判の盛り上がり
④ 不服申し立て
⑤ 裁判所の判断
私は、①②③⑤には詳しくない、以下では特定行政書士の職務でもある、不服申立について考察してみる。

不服申立についての考察。

・・・・・・現在・・・・書きかけ

 

 

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北原 伸介

情報公開請求や公文書の管理に関心が強い行政書士。 taroimo1030@gmail.com (電話)080ー7172ー8669 (FAX)03-6850ー8573 お問合せは無料です。文書に関するものでしたらあらかじめFAXいただくとスムーズです。