(情報公開)公開請求書の補正について
この記事では、情報公開請求申請書における補正の手続に関して書いています。
行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)令和3年法律第37号による改正のもの(以下、情報公開法という。)
「情報公開事務処理の手引」平成21年5月厚生労働省大臣官房総務課情報公開文書室(以下、厚労省手引という。)
目次
情報公開請求書の補正
情報公開請求は欲しい情報のめぼしをつけてから、審査請求書を行政機関(実施機関)に提出することにより始まります(情報公開法4条)。
補正とは、請求書を書き直すことです。開示請求書を提出した後に、行政機関から請求書の記載を補正するように連絡を受ける事があります。
行政機関から補正を求めらる多くのケースは請求書の「行政文書の名称等」という部分です。この欄は、公開請求する文書の特定に必要な情報の欄です。
その欄にはたいてい「請求する行政文書が特定できるよう、行政文書の名称、請求する文書の内容等をできるだけ具体的に記載してください。)などとコメントが書いてあります。
実際にどの程度の記載が必要であるかというと。
「職員が請求文書を他の文書と識別できる」程度の記載をする必要があるとされています。
文書の特定に関して→文書の特定に関して
行政職員が補正を促すということ。
行政職員が開示請求書の補正を促すという行為は、「開示請求書の補正の求め」と表現されているようです。
行政機関の職員が、開示請求者に対して請求書の補正を促す行為は情報公開法第4条2項による行為です。2項では後段で、「開示請求者に対し、補正の参考となる情報を提供するよう努めなければならない。」と定められています。職員は、国民に対して情報提供をする努力してくれということですね。
そのようなことから、補正を促す行為が、職員によるアドバイスの場合もあります。
例えば「対象を広げることで開示されると考えている。」とか「この文言はこのような理解でいいか?だとしたら書き換えるといい。」とかです。
他方で、ちょっと細か過ぎはしないか?というような補正の指示もあります。行政機関の職員は法律職ですから、一般の私たちにとっては分からないような細かい文言に関しても補正を求めてきます。
それは正確性を確保するために必要なことなのかもしれません。
他方で補正を挟むということは開示決定までの日にちが伸びることを意味します。また、双方の事務負担になることは言うまでもありません。
そうすると、多少至らない請求書であったとしても、文書の特定ができるような請求書は、請求者の権利を害さないのであれば合理的に解釈して欲しいようなときもあります。
※、厚生労働省的では、手続きの進行に支障の恐れのないものについては補正の手続をせず、社会常識の範囲内で得適宣読替を行う。と記載があります。
補正に応じるかどうかはあなたしだい。
上記のような、行政機関による補正の指導は、開示請求書を受付けた上で行われます。(行政手続法7条)。
開示請求者の補正に要する期間は開示決定の期限には算入されません。
また、補正の手続には法令上の根拠はないとされています(厚労省手引8条)。
法令上の根拠がないので、開示請求者は補正には応じなくても手続きは進行すると解されます。
なお、厚労省手引9頁では「補正期限を過ぎても補正されない場合、所管課で、補正の対象となり事項の形式的不備を理由とする不開示決定の決裁を行う。と記載があります。
情報公開審査会の答申
※筆者の方で内容を端折って書いています。正確なものは原文にあたっていただきますようお願いします。
令和3年(行情)答申390号リンク
・1,請求文言「防衛相内部部局のファイルサーバの共有フォルダにつつづられている文書の全て」として請求書を提出した。
2,処分庁は形式上の不備があるとして補正をもとめたが、審査請求人が応じなかった例
3,審査会の判断
開示請求者は、開示を求める文書自体を識別し得る事項を明らかにする必要がある。
令和3年11月4日(令和3年(行情)答申347ないし349)
1,請求文言「保存期間を1年未満とする行政文書ファイル等」とする開示請求を行う。
2,処分庁は、保存期間を1年未満とする行政文書ファイル等とは具体的にどのような文書を考えているのか分からない。として補正を請求。
3,審査請求人は書籍を示すなどして、説明を試みるもついに両者の理解は進まなかった。
4,平成30年10月付け不開示決定
5,開示請求者が審査請求。
6,審査会の判断
行政機関の手続において、情報公開法4条2項の規定の繻子に照らして特段不適切な点は無いと判断。
当事務所の紹介
東京都中野区にある行政書士事務所である当事務所では情報公開に関する事務や相談を受けています。東京都中野区 行政書士 北原伸介のホームページです。
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北原 伸介
情報公開請求や公文書の管理に関心が強い行政書士。
taroimo1030@gmail.com
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