(審査請求)情報公開・個人情報保護審査会について
情報公開・個人情報保護審査会(以下、審査会)についてまとめてあります。なお、総務省による委員会の説明はこちら。総務省リンク
目次
審査会の必要性
審査会の役割
審査会の構成
審査委員会は、法律に基づき設置されています(平成15年法律第60号情報公開・個人情報保護審査会設置法)以下、設置法。
審査会の特徴
審査会は、必要があると認めるときは、諮問庁に対し文書の提示を求めることができます、この求めは拒むことができません(設置法9条1項、2項)。その他、必要な調査(意見書又は資料の提出、聴取、鑑定等)を行う事ができます。
インカメラ審理と言われているものです。行政機関の文書を実際に見聞することができます。このような審理の方式は裁判所による裁判では認められていません。法律を変えてインカメラ審理を裁判所でも導入すべきであるという議論があります。(筆者は三権分立のとの兼ね合いから消極との意見)。
審査会は、対象となる文書当に記録されている情報の内容を分類・整理した資料の提出を求めることができます(ヴォーンインデックス)。
審査請求人等は、審査会に対し、審査会に提出された意見書又は資料の閲覧を求めることができます(設置法13条2項)。
設置法に基づく、審査会又は委員の処分又はその不作為については審査請求をすることができません(設置法15条)。この場合には、裁判所に判断を求めることになるのでしょうか?
情報公開・個人情報保護審査会の答申は公開されています。リンク
インカメラ審理やボーンインデックスなどは多くの書籍で詳細に述べられていますので目を通すといいかもしれません。
口頭意見陳述の機会
審査会は東京都にありますので、地方の方が口頭意見陳述を行いたいときにはどうすればいいのでしょうか?
このような場合には、事件の審議にあたる委員会のうち一部の者に意見の陳述を聞かせ、又は必要な調査をすること等により対応ができると説明されています(資料1、6(1)ウ)。
特徴に対する考察
審査会には上述のように、インカメラ審理や調査権など多くの強力な権限が用意されています。
たとえば、行政庁が「この文書が公表されてしまうと、外交上の国益が損なわれる。」と主張したとします。このとき、インカメラ審理で実際に文書を見聞することができます。
このような状況で審査会から「国益を損なうようなものではない」と指摘されて公開されるようなこともまま、あります。
しかし、裁判所にはインカメラ審理を行う根拠となる法律がありません。ですから上述のような手続きをおこなうことはできません。
上述のことから、審査会による審査は非常に重要であるというが言えそうです。
審査会に対する情報公開請求
審査会に対しても開示請求を行うことができます。審査会を所管しているのは総務省なので総務省の窓口に請求書を送付することになります。総務省に関する開示請求
審査会の保有する情報公開に関する事務は、「情報公開・個人情報保護審査会事務局 総務課」がおこなっております(情報公位階・個人情報保護審査会事務局組織規則2条7号、参照)。
審査会に対する開示請求で注意することは、情報公開・個人情報保護審査会設置(平成15年法律第60号)14条、「審査会の行う調査審議の手続きは公開しない。」という部分です。
諮問の審議に必要な資料の収集などは事件ごとに行われていると思いますが、そのような文書は同条により公開されない可能性が高いと考えられます。
なお、上記のような資料は、文書保存期間表では「配布資料」と明記されています。しかし、開示請求で請求する場合に「配布資料」と書いても文書は特定されないことがあります。この場合には「審査会が当該審議を行う際に使用した配布資料。」などと書かなければ補正を受ける可能性があります(筆者体験談)。
資料
1,1996年12月行政情報公開部会がまとめ、橋本総理に提出した要綱案に対する、いわゆる「考え方」
2,松井茂記『情報公開法〔2版〕』有斐閣、2003年
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北原 伸介
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