google-site-verification=gTqqJPuTqfnTMhpfQRE3XQCdHfuNCJaErr-OFsmbkxk

(審査請求)情報公開・個人情報保護審査会について

2023年12月19日

情報公開・個人情報保護審査会(以下、審査会)についてまとめてあります。なお、総務省による委員会の説明はこちら。総務省リンク

審査会の必要性

一般的に審査会や委員会が必要となるケースとして。
① 中立性の確保
② 優れた専門性の確保
が求められることが多いとおもいます。また、委員の選考には、両議院の承諾も要件とされているので国民に対する信頼性の確保という意味でも、審査会の必要性はあるようにおもいます。

審査会の役割

情報公開法19条 審査請求があったときは、原則として審査請求に対する裁決をすべき行政機関の長は審査会に諮問をしなければならないとしています。例外的に審査会に諮問をしなくともいい場合は。
① 審査請求が不適法であり却下する場合。
② 行政庁が、審査請求の内容を全部を容認して、行政文書の全部を開示することととする場合。
①は、手続き的な瑕疵があった場合で、行政機関による補正のお願いを無視する場合など。②は、行政機関に否があったことを認めて全部を開示することになります。審査請求人の目的は達成されることが明確なので、審査会への諮問を不要としています。

審査会の構成

審査委員会は、法律に基づき設置されています(平成15年法律第60号情報公開・個人情報保護審査会設置法)以下、設置法。

 委員は、優れた識見を有する者から、衆参両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命します。任期は3年です。過去の委員会のメンバーをみると、行政法の先生の名前を発見することになります。委員会というキャリアは世間的な評価が高い事が推認されます。
 委員は、在任中、正当その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならないとされます(設置法4条9項)。
 常勤の役員は、在任中は報酬を得て事業や、業務をおこなうことはできません。ただし、内閣総理大臣の許可がある場合には上記の活動を行うことができます(設置法4条10項)。
 審査会の事務を処理するため、審査会に事務局が置かれます。
 両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命することとなった理由は、内閣総理大臣が行政機関にとって都合のいい人ばかりを任命しないように議会のチェックを挟んだと説明されています(資料2、307頁)。
 しかし、多数党の代表が総理大臣となる日本の議院内閣制で、そのような効力が働くかは疑問です。建前のようなものだと感じざるを得ません。
 もっとも、国会の同意があるということで、国民からの信頼も高まることはたしかでしょう。したがって、審査会の権威性が高まることは間違いがありません。

審査会の特徴

 

審査会は、必要があると認めるときは、諮問庁に対し文書の提示を求めることができます、この求めは拒むことができません(設置法9条1項、2項)。その他、必要な調査(意見書又は資料の提出、聴取、鑑定等)を行う事ができます。

インカメラ審理と言われているものです。行政機関の文書を実際に見聞することができます。このような審理の方式は裁判所による裁判では認められていません。法律を変えてインカメラ審理を裁判所でも導入すべきであるという議論があります。(筆者は三権分立のとの兼ね合いから消極との意見)。

審査会は、対象となる文書当に記録されている情報の内容を分類・整理した資料の提出を求めることができます(ヴォーンインデックス)。

審査請求人等は、審査会に対し、審査会に提出された意見書又は資料の閲覧を求めることができます(設置法13条2項)。

設置法に基づく、審査会又は委員の処分又はその不作為については審査請求をすることができません(設置法15条)。この場合には、裁判所に判断を求めることになるのでしょうか?

情報公開・個人情報保護審査会の答申は公開されています。リンク

インカメラ審理やボーンインデックスなどは多くの書籍で詳細に述べられていますので目を通すといいかもしれません。

口頭意見陳述の機会

審査会は東京都にありますので、地方の方が口頭意見陳述を行いたいときにはどうすればいいのでしょうか?

このような場合には、事件の審議にあたる委員会のうち一部の者に意見の陳述を聞かせ、又は必要な調査をすること等により対応ができると説明されています(資料1、6(1)ウ)。

特徴に対する考察

審査会には上述のように、インカメラ審理や調査権など多くの強力な権限が用意されています。

たとえば、行政庁が「この文書が公表されてしまうと、外交上の国益が損なわれる。」と主張したとします。このとき、インカメラ審理で実際に文書を見聞することができます。

このような状況で審査会から「国益を損なうようなものではない」と指摘されて公開されるようなこともまま、あります。

しかし、裁判所にはインカメラ審理を行う根拠となる法律がありません。ですから上述のような手続きをおこなうことはできません。

上述のことから、審査会による審査は非常に重要であるというが言えそうです。

審査会に対する情報公開請求

審査会に対しても開示請求を行うことができます。審査会を所管しているのは総務省なので総務省の窓口に請求書を送付することになります。総務省に関する開示請求

審査会の保有する情報公開に関する事務は、「情報公開・個人情報保護審査会事務局 総務課」がおこなっております(情報公位階・個人情報保護審査会事務局組織規則2条7号、参照)。

審査会に対する開示請求で注意することは、情報公開・個人情報保護審査会設置(平成15年法律第60号)14条、「審査会の行う調査審議の手続きは公開しない。」という部分です。

諮問の審議に必要な資料の収集などは事件ごとに行われていると思いますが、そのような文書は同条により公開されない可能性が高いと考えられます。

なお、上記のような資料は、文書保存期間表では「配布資料」と明記されています。しかし、開示請求で請求する場合に「配布資料」と書いても文書は特定されないことがあります。この場合には「審査会が当該審議を行う際に使用した配布資料。」などと書かなければ補正を受ける可能性があります(筆者体験談)。

資料

1,1996年12月行政情報公開部会がまとめ、橋本総理に提出した要綱案に対する、いわゆる「考え方」

2,松井茂記『情報公開法〔2版〕』有斐閣、2003年

当事務所の紹介

東京都中野区に行政書士事務所である。北原伸介行政書士事務所では、情報公開請求に関する、相談、代理、代行の事務をおこなっております。
The following two tabs change content below.

北原 伸介

情報公開請求や公文書の管理に関心が強い行政書士。 taroimo1030@gmail.com (電話)080ー7172ー8669 (FAX)03-6850ー8573 お問合せは無料です。文書に関するものでしたらあらかじめFAXいただくとスムーズです。

Posted by 北原 伸介