(情報公開請求と国家賠償)自社公表と不開示決定(労働監督復命書整理簿)
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事案の概要
認定事実
東京地判令和3年2月16日
判決リンク、情報公開個人情報保護データベース
1 原告は平成31年2月7日監督復命書整理簿を開示請求した
2 被告は平成31年3月8日「平成29年度監督復命書整理簿」を開示決定した。事業場名は不開示
3 原告は、不開示決定を不服として令和元年9月12日本件訴えを提起した。
4 令和元年10月29日被告は本件決定を取消し、改めて開示決定を行った。対象事業場名は開示(注)対象法人は労働基準監督署から指導監督を受けていたことを自ら公表していたことを原告に指摘されていた。(新決定)
6, 青森労働局長は令和2年3月30日、情報開示決定を取消し、5の取扱を踏襲した決定を新たにし直した。(新々決定)
裁判所の判断
情報公開法の事務が国家賠償法上違法となるのは「公務員が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該処分をしたと認めえるような事情がある場合に限り、当該職員等の行為は、上記評価を受けるものと解するのが相当である。」
本件決定及び本件新決定がされた当時、決定と結論を同じくし、かつ、内容にも相応の合理性がある従前の答申が存在していた一方、令和2年答申はまだ行われていなかった。当時の裁判例にも令和2年答申の内容となるような判例はなかった。そのような事情の下では労働局長の決定には、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くさなかったと認め得るような事情があるということはできない。
対象事業所は労働基準監督署から監督、指導を受けていたことを自らHPで公表していた事実がある。しかしながら、行政機関の長が事業場について自主公表の有無を逐一確認することは事実上困難であり、また、そのような確認をなかったことについて、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くさなかったと評価することはできない。
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北原 伸介
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