高齢者の異変に関する通報
高齢化が進む日本では、高齢者に異変に気付いた場合に、行政機関が通報への協力を求めているケースが多いです。通報での情報により、地域の包括支援が始まるきっかけとなることもあります。しかし、通報のための情報はプライバシーとの関係が問題となるために、対応に注意しなければなりません。以下で簡単に示します。
原則として、通報に関しては本人の同意が必要です(個人情報保護法第18条)。しかし、人の生命・身体、財産の保護のために必要な場合であって、本人の同意を得ることが困難であるときは本人の同意が不要です。(個人情報保護法第18条3項2号)
目次
警察署か消防署に通報・連絡する場面
・高齢者の住まいから異臭がする場合。
・高齢者が家の中で倒れているとき。
・助けを求められた場合。
包括支援センター等の区市町村に連絡連絡する場合。
・家の中から怒鳴り声がする、殴られたあざがある等。虐待のおそれがある場合。
・同じことを何度も話す。店での勘定ができない等の認知症の疑いがある場合。
高齢者の見守りには、地域の皆様のご協力が不可欠です。
認知症化もしてないと周囲が気づいても、本人が納得して医療機関を受診するのは簡単なことではありません。症状が進めば進むほど本人がかたくなになってしまうケースもあります。
どんな症状かどうかチェックするシートがあります。(中野区https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/172050/d020556_d/fil/ninshisyou-checklist.png
せっかく行政が認知症の方のための制度を設計していても活用できないのでは仕方ありません。
周知のとおり、高齢化が進む現在の状況としては地域のみなさまの協力なくして安心した地域つくりを維持することは困難な状況だと思います。特に理美容室や整骨院など高齢者にとっても身近な商店は、町のインフラとして期待されています。
同意が必要ということは、同意書に署名を頂く事で安全になります。
本人の同意を得ることができる場合での通報は、本人の同意を得て行うことになります。この場合には同意書を頂いておくと良いでしょう。
なぜならば、プライバシーに配慮されていることを行政に示すこともできますし。後日のトラブルとなってしまったときにも書面による証拠を得ることができるからです。
北原 伸介
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