(情報公開と国家賠償)大阪地判2年6月25日、財務局
このページでは、情報公開請求に対する国の事務処理が違法であると判断された事例に関して書いています。事実関係や判示に関しては、筆者が端折って書いていますので正確性の確保のためには原文にあたってください。
大阪地判令和2年6月25日リンク
事案の概要
本件対象文書は森友学園問題に関する文書です。森友学園問題の事実関係は報道等で皆様ご承知と存じますので割愛させいていただきます。なお、本件に関しては財務省の調査結果が公表されています。リンク財務省HP該当ページ
・A特定学校法人に対する国有地の売払いに関する、「面談・交渉記録」を含む文書の開示を請求した。平成29年5月2日
・近畿財務局長は平成29年5月15日行政文書の開示を行った。しかし、Aが請求した「面談、交渉記録」に関する文書が含まれていなかった。
・本件文書は国会でも問題となっていた財務省は、応接録が不存在であるとして国会で答弁をしていたところ、調査により応接録が存在したとして公表するに至る。
・Aは違法であることの確認等を求めて本件訴えを提起した。
・平成31年4月2日、情報公開に対する再処分を行い、Aの請求文書を開示する決定をした。
・Aは違法確認等の訴えを損害賠償請求に変更して裁判所の許可を得た。
原告の主張
・本件開示請求にかかわる行政文書(本件面談・交渉記録)に該当するにもかかわらず、これら文書について開示とも不開示ともすることなく漫然と放置し、その後、本件訴訟において原告及び裁判長から厳しく追及されたため、本件開示請求から2年以上も経過した後になって、ようやく本件再処分をして、本件217件の文書を開示した。
・これは財務省理財局長が国会審議において学校側との応接録は既に廃棄した旨の答弁をしていたことなどから、意図的に本件217件の文書を隠滅・隠匿した者であり、これらの近畿財務局長の行為が国家賠償法上、故意の違法行為に該当することは明らかである。
裁判所の判断
・本件217件の文書は組織的に用いるものとして保有されていたことが認められるから、文書不存在を理由として不開示としたことは情報公開法上違法である。
・上記認定事実によれば、財務省理財局及び近畿財務局における応接録の廃棄は国会審議において更なる追及を得ることを避けるべく組織的に行われたものである。また、理財局長の国会答弁等と矛盾しないようにするために応接録についての多くの開示請求に対してその都度「文書不存在」を理由に不開示決定されていな中の一つである。
森友学園問題の性質や本件処分に至る経緯に加え、近畿財務局の職員は応接録の存在していることを認識していたことも踏まえる。そうすると、近畿財務局長は近畿財務局が保有していた行政文書を意図的に存在しないものとして扱い、本件処分を行ったというほかなく、このような近畿財務局長の行為が、国家賠償法上、故意の違法行為に該当することは明らかというべきである。
精神的損害に関しては、違法行為の内容が相当に悪質であると判断され30万円の賠償額が認定されました。認定に関して裁判所の理財局長に対する、強い理由説明がありますが割愛しております。興味のある方は上記リンクから原文にあたってみて下さい。
当事務所の紹介
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