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令和6年2月22日小金井市立保育園廃止処分取消等事件

このページでは表題の事件関して書いています。事件の概要や判示の内容は筆者が端折って書いています。正確性の確保のためには原文に当たるようお願いします。

認定事実

1,本件保育園令和5年度における0歳児募集の廃止および令和9年度末をもって廃園するという内容の条例が継続審議となった。
2,令和4年9月、市長は本件条例の制定をする専決処分をした(地方自治法179条1項)。令和4年10月市長は市議会に対し専決処分を報告したが市議会は不承認とした(地方自治法179条3項)。その後市長は辞職した。
3,現市長は令和4年12月21日専決された条例を廃止するため「小金井市立保育園条例の一部を改正する条例を廃止する条例」に係る議案を議会に提出したが議会はこれを否決した。
4,令和5年1月、市長は2に基づき0歳児の利用申請をした原告に対して、その施設を利用不可とする旨の処分をした。

いまいちわかりにくい事件なので説明

以下筆者が簡単に流れを説明すると。
ア、保育園の廃止条例を専決処分。
ここでいう専決処分は「本来議会が行うべきことを緊急性があることから市長が行う、事後に議会に承認を得る。」という手続きになります。

 

イ、議会は1の承認をしませんでした。市長は辞職します。
議会は不承認としたものの、なぜか専決処分をした条例を有効だと考えていました。
ウ、新しい市長はイの条例を廃止するべく議会に提出したがなぜか否決されてしまいます。

エ、このような、市政のごたごた状況から保育園の入園不利益を受けた原告が裁判所に判断を求めたという事案です。

裁判所の判断

1,本件廃止募集条例の制定行為は処分の取消しの対象となる処分に該当するものということはできず処分の取消しの訴えの対象とならない。

2,本件募集廃止条例は成立しないものとしても、改正前の条例の募集要領に基づいて園児の募集をすることが不可能であったとまでは言えないから本件議案の議決が緊急性の高いものであったとはいえない。

3,本件議案は緊急性が高い事件ということはできず、また、何らかの事情により前市町によって市議会の議決を得ることが社会通念上不可能ないしこれに準ずる程度に困難と認められる場合であったという事もできないから本件専決処分は違法である。

利用不可処分について
違法な専決処分であれば、重大かつ明白な違法性があるか否かを問わず、原則としてこれに基づいて制定された条例は無効と解すべきであって、本件廃止条例もまた無効である。また、議会が本件否決によって本件専決処分の瑕疵を治癒し、その内容を追認する明らかな意思表示をしたと認められない。無効な条例を有効とする観点からの審査もなされていない。
国家賠償について
本件専決処分は地方自治法179条1項の緊急性等の要件を充たさないことは明らかであった。国家賠償法上の注意義務違反があったものと認められる。

 

原告の請求

1,市長の行った専決処分は違法である。

2,違法でないとしても、0歳児の施設を利用不可とする処分は取消せ。

3,国家賠償法1条1項に基づき、精神的苦痛に対する損害賠償金を支払え。

資料

感想

この事件に関してはいくつかの疑問があります。
1,議会が不承認とした条例をなぜ有効だと考えたのか?
2,議会は不承認とした条例を新市長から守る動きを見せます。矛盾にとんだ動きを見せます。
仮に、上記の動きが極めて政治政党的な内容をもつものであれば、不利益を被った市民としてはたまったものではありませんね。

当事務所に関して

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北原 伸介

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