個人情報保護法ガイドライン(行政機関)を読む。
中野区の行政書士北原です。このページでは行政機関向けの個人情報保護法ガイドラインの中から、私たち国民のためになる情報を抜粋して記録しています。個人情報保護ガイドラインには民間向けのガイドラインもあります。個人情報を取扱う事業者の担当者は一読すると有意義であると思われます。なお、記載内容は筆者のほうで端折ってあります。また、←(やじるし)は筆者のコメントになっています。
抜粋
・ガイドライン中「しなければならない」、「してはならない」と記述している事項については、これに従わなかった場合、違法と判断される可能性がある。
・地方公共団体の議会については、地方公共団体の機関から除外されている(2章、3章、法69条2項3号を除く)。←個人情報保護法に基づく開示請求の対象とはなっていない。しかし、任意で応じる可能性はなくはないということ。
・法2条「他の情報と容易に照合することができ」
通常の事務や業務における一般的な方法で、他の情報と容易に照合することができる状態をいい、例えば、他の行政機関等に照合を要する場合等であって照合が困難な状態は、一般に容易に照合することができない状態であると考えられる。
・また、デジタル化が進むなか、安全管理措置を適切に講じるためには、サイバーセキュリティの確保も重要である。サイバーセキュリティ対策を講ずるに当たっては、サイバーセキュリティ基本法(平成26年法律第104号)第26条第1項第2号に掲げられたサイバーセキュリティに関する対策の基準等を参考として、取り扱う保有個人情報の性質等に照らして適正な水準を確保する必要がある
・「特別の理由があるとき」は「相当の理由」よりもさらに厳格な理由が必要であることを示す。
・個人情報ファイルには開示請求の請求先が記載されている。
・行政機関が個人情報ファイルを保有しようとするときは、法定事項等の記載された事項を委員会にあらかじめ通知しなければならない。ただし、通知を要さないファイルもある。通知を要さないファイルは、ファイル簿で公表されない。
・下記の個人情報ファイル簿は公表されていないし、公表しないことができる。事前通知が不要なファイルの類型
(1) | 国の安全、外交上の秘密その他の国の重大な利益に関する事項を記録する個人情報ファイル(法第74条第2項第1号) |
---|---|
(2) | 犯罪の捜査、租税に関する法律の規定に基づく犯則事件の調査又は公訴の提起若しくは維持のために作成し、又は取得する個人情報ファイル(同項第2号) |
(3) | 当該機関の職員又は職員であった者に係る個人情報ファイルであって、専らその人事、給与若しくは福利厚生に関する事項又はこれらに準ずる事項を記録するもの(当該機関が行う職員の採用試験に関する個人情報ファイルを含む。)(同項第3号) |
(4) | 専ら試験的な電子計算機処理の用に供するための個人情報ファイル(同項第4号) |
(5) | 法第74条第1項の規定による通知に係る個人情報ファイルに記録されている記録情報の全部又は一部を記録した個人情報ファイルであって、その利用目的、記録項目及び記録範囲が当該通知に係るこれらの事項の範囲内のもの(同条第2項第5号) |
(6) | 1年以内に消去することとなる記録情報のみを記録する個人情報ファイル(同項第6号) |
(7) | 資料その他の物品若しくは金銭の送付又は業務上必要な連絡のために利用する記録情報を記録した個人情報ファイルであって、送付又は連絡の相手方の氏名、住所その他の送付又は連絡に必要な事項のみを記録するもの(同項第7号) |
(8) | 職員が学術研究の用に供するためその発意に基づき作成し、又は取得する個人情報ファイルであって、記録情報を専ら当該学術研究の目的のために利用するもの(同項第8号) |
(9) | 本人の数が政令で定める数(1,000人)に満たない個人情報ファイル(同項第9号及び政令第20条第2項) |
(10) | (3)から(9)までに記載する個人情報ファイルに準ずるものとして政令で定める、当該機関以外の行政機関等の職員等の人事等に関する個人情報ファイル(法第74条第2項第10号及び政令第20条第3項) |
(11) | 法第60条第2項第2号に係る個人情報ファイル(マニュアル(手作業)処理に係る個人情報ファイル)(法第74条第2項第11号) |
・(個人情報の保有の制限等)
第六十一条行政機関等は、個人情報を保有するに当たっては、法令の定める所掌事務又は業務を遂行するため必要な場合に限り、かつ、その利用目的をできる限り特定しなければならない。
第六十一条行政機関等は、個人情報を保有するに当たっては、法令の定める所掌事務又は業務を遂行するため必要な場合に限り、かつ、その利用目的をできる限り特定しなければならない。
*事務又は業務に関しては「権限を定める条文」「所掌事務を定める事務に係る条文」などの法令の根拠が必要である。
・行政機関等は利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を保有してはならない。
・行政機関等は本人から直接書面に記録された当該本人の個人情報を取得する際には原則として利用目的を明示しなければならない。←本人から一方的に書面が送られてきたような場合には適用が無い(不可能だから)。
・開示決定等は行政手続法に規定する申請に対する処分に該当するため、同法5条の規定に基づき審査基準を策定する必要がある。
・訂正請求の補正には、補正の参考となる情報提供の努力義務(77条3項)については規定していないことに注意。
・107条2項
地方公共団体の機関等は条例で定めるところにより開示請求等に係る不作為についての審査請求について行政不服審査法第4条の特例を設けることができる。
・法86条2項による第三者に対する必要的意見聴取の際に、提出される意見書は、できる限り行政機関等の開示、不開示の判断に資するような情報の提供が望まれる。
資料
行政機関向け個人情報ガイドラインhttps://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_administrative/
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北原 伸介
情報公開請求や公文書の管理に関心が強い行政書士。
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