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情報公開請求からみる、内閣官房報償費(機密費)

2024年7月12日

このページでは、内閣官房報償費(機密費)に関して簡単にまとめてあります。答申や判決などは筆者が簡単にまとめていますので、文言などが大きく異なります。正確性の観点からは原文を読む事をお勧めします。

中野区に所在する当事務所(行政書士)では情報公開請求に関する事務を行っています。

情報公開請求、答申からみる内閣官房報償費(機密費)

 内閣官房報償費は,内閣官房の行う事務を円滑かつ効果的に遂行するために,当面の任務と状況に応じて機動的に使用することを目的とした経費として,毎年度予算措置が講じられているものである。
 内閣官房報償費の、使途や対価として支払われた相手方は、公表されていないため、いわゆるブラックボックスとして、報道陣や国民から疑惑が投げかけられることが多々ある。
内閣官房報償費の執行は,
1,政策推進費,
内閣官房長官が,重要政策の関係者等に対し,非公式に交渉や協力依頼等の活動を行う際に合意や協力を得るために支払う対価等として使用される。

2,調査情報対策費
その時々の状況に応じ必要な情報を得るために必要とされる経費であり,情報収集等の対価や会合の経費等として使用される。

3,活動関係費
具体的には,重要政策の関係者等に対する内閣官房長官の交渉,協力依頼,情報収集等の活動に際して必要となる経費,当該活動の相手方等に交付する謝礼,慶弔費等に使用される。
上記、三つの目的類型ごとに,それぞれの目的に照らして行うものとされている。

平成21年度(行情)答申147号平成19(行情)答申182号

答申で表れた説明
・内閣官房報償費は、国の会計からの支出が完了し、取扱責任者である内閣官房自らの判断により支払を行う。
・内閣官房報償費の愚弟的な使途に係る情報が機微にわたるものであることから、万が一の情報漏れを防ぐため内閣総理大臣官邸内において厳重に管理保管が行われている。
・会計検査に際しては、使途を明示し多数の者を介して行われる一般的な証明方法によることは適当ではないため、会計検査院から要求があったときに提出する簡易証明が認められている。
・内閣官房報償費(機密費)については、「内閣官房報償費取扱要領」に基づいて以下で構成される。具体的な使途の分かる支出関係書類とは
1「出納管理簿」・・・・内閣官房長官が国庫からの支払を受ける都度又は役務提供者等への支払を行う都度記帳される文書。
2「支出決議書」はア、イに細分化される。
 ア「政策推進費受払簿」・・・・政策の円滑かつ効果的な推進のため、内閣官長官としての高度な政策的判断により、機動的に使用することが必要な経費について、その受払を記録する文書。
 イ「支払決定書」・・・・内閣官房報償費のうつ政策推進費以外の調査情報対策費及び活動関係費(政策推進費及び調査対策費に係る活動が円滑に行われ、所期の目的が達成されるよう、当該活動を支援するために必要な経費)について、役務提供者等への個々の支払の都度、当該支払の確認を行うための文書
3「報償費支払明細書」・・・・使途を目的別に分類したうえで、毎月の支払額を記載した文書であり、計算証明のため会計検査院に提出されているもの。
4「領収書等」は役務提供者等への支払が行われる際に、支払いの確認のため収受等をおこなっているもの。
内閣官房報償費の不開示理由(審査会)
・内閣官房報償費支出関係文書には、支払相手方等に関し個別具体的な記載がなされており、その内容が機微にわたることが認めらる。
・仮に使途等に関する直接的な記載に係る部分を除いて開示したとしても、特定時期における文書の作成量が、当該時期における内閣官房報償費の三つの目的類型(政策促進費、調査情報対策費及び活動関係費)ごとの使用量や支払件数に応じているという状況から、当該時期の内政・外交状況と照らし合わせること等により、その使途を推測させることとなる事情が目とめられる。
・文書の一部でも公にすることにより、機動的な運用を損ない、その結果、事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり、また、他国等との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国等との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由があると認められる。

最判平成30年1月19日 不開示決定処分取消等請求事件 裁判所HPリンク

地判リンク
高判リンク
原審の判断
1)政策推進費受払簿並びに出納管理簿及び報償費支払明細書のうちそれぞれ政策推進費の繰入れに係る記録部分が開示された場合,一定期間内における政策推進費の支払合計額が明らかになるものの,それ以上に政策推進費の支払相手方や具体的使途等の情報が明らかになるものではない。また,出納管理簿のうち月分計部分及び累計部分並びにそれぞれに対する内閣官房長官の確認印部分(以下「月分計等記録部分」という。)や報償費支払明細書のうち繰越記録部分がそれぞれ開示された場合,各月における内閣官房報償費の支払合計額等が明らかになるのみであり,それにより支払相手方や具体的使途が明らかになるわけではない。そうすると,上記の文書及び記録部分に記録された情報は,情報公開法5条3号又は6号所定の不開示情報に該当しない。
↑最高裁の判断(是認できると判断)
 政策推進費受払簿並びに出納管理簿及び報償費支払明細書のうちそれぞれ政策推進費の繰入れに係る記録部分が開示されても,政策推進費の繰入れがされた時期やその金額,政策推進費の前回の繰入時から今回の繰入時までの期間内における政策推進費の支払合計額等が明らかになるにすぎない。また,出納管理簿のうち月分計等記録部分及び報償費支払明細書のうち繰越記録部分が開示されても,内閣官房報償費の各月における支払合計額及び年度当初から特定の月の月末までの間の支払合計額のほか,年度末における残額が明らかになるにすぎない。
 政策推進費の繰入れは,内閣官房報償費から政策推進費として使用する額を区分する行為にすぎないから,その時期や金額が明らかになっても,その後関係者等に対してされた個々の支払の日付や金額等が直ちに明らかになるものではなく,また,一定期間における政策推進費又は内閣官房報償費全体の支払合計額が明らかになっても,その支払が1度にまとめて行われたのか複数回に分けて行われたのか,支払相手方が1名か複数名かなどについては明らかになるものではないことからすると,    内閣官房報償費に関する情報の性質を考慮しても,これによって内閣が推進しようとしている政策や施策の具体的内容,その支払相手方や具体的使途等を相当程度の確実さをもって特定することは困難であるというほかない。
 そうすると,上記の文書及び記録部分に記録された情報は,これを公にすることにより,内閣官房において行う我が国の重要政策等に関する事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるということはできず,また,これを公にすることにより,国の安全が害され,他国等との信頼関係が損なわれ,又は他国等との交渉上不利益を被るおそれがあるとした内閣官房内閣総務官の判断に相当な理由があるということはできない。
原審の判断
(2)報償費支払明細書のうち調査情報対策費及び活動関係費の各支払決定に係る記録部分には,支払決定の日付,支払決定に係る金額,調査情報対策費及び活動関係費の別等が記録されているにすぎず,上記記録部分が開示されたとしても,支払相手方や具体的使途が明らかになることはないから,上記記録部分に記録された情報は,情報公開法5条3号又は6号所定の不開示情報に該当しない。
↑是認できないとの最高裁の判断
 報償費支払明細書のうち調査情報対策費及び活動関係費の各支払決定に係る記録部分が開示された場合,その支払相手方や具体的使途が直ちに明らかになるものではないが,支払決定日や具体的な支払金額が明らかになることから,内閣官房報償費に関する情報の性質を考慮すれば,当該時期の国内外の政治情勢や政策課題,内閣官房において対応するものと推測される重要な出来事,内閣官房長官の行動等の内容いかんによっては,これらに関する情報との照合や分析等を行うことにより,その支払相手方や具体的使途についても相当程度の確実さをもって特定することが可能になる場合があるものと考えられる。
 そうすると,上記記録部分に記録された情報は,これを公にすることにより,内閣官房において行う我が国の重要政策等に関する事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものと認められ,さらに,上記情報のうち我が国の外交関係や他国等の利害に関係する事項に関するものについては,これを公にすることにより,国の安全が害され,他国等との信頼関係が損なわれ,又は他国等との交渉上不利益を被るおそれがあるとした内閣官房内閣総務官の判断に相当な理由があるものと認められる。
 したがって,上記情報は,情報公開法5条3号又は6号所定の不開示情報に該当するというべきである。
(まとめと感想)
政策推進費の繰入に係る部分については開示すべきである。
・政策推進費の繰入は、内閣官房報償費から政策推進費として使用する額を区分する行為にすぎないから関係者等に係る部分が明らかになるわけではない。
・一定期間における支払合計額が明らかになっても、その支払いが1度にまとめれされたのか複数回なのか、1名に対するものか複数名に対するものなのかは明らかにならない。

国会での質問主意書

平成22年4月 衆議院リンク

1, 政権交代後、平野博文内閣官房長官は、内閣官房報償費として3億6千万円を国庫からの支出を受けたと承知している。去年度の内閣官房報償費について未使用額がいくらか、返納額があるのか明らかにされたい。

政府の説明

未使用額は1621万、、、でありこれについては平成22年4月に国庫に返納する手続きが行われた。なお、このほか官房長官からの請求がなく未執行となった内閣官房報償費が2千21万ある。

平成22年6月 衆議院リンク
1, 内閣官房報償費国庫からの支出状況は(請求日、支出額)は秘密でも何でもない。去年11年の記者会見で官房長官は、それまでの内閣官房報償費(機密費)の国庫からの支出状況を明らかにされている。したがって、毎回の請求ごとに国民に対して情報公開すべきではないか。

2,菅官房長官交代時に年度途中で、内閣官房報償費の残額がゼロとなっており、未使用額が返納されず引き継がれなかった疑いがある。歴代官房長官の交代時の引継ぎの残高がいくらであったのか明らかにされたい。

3,元官房長官による発言には、不当な内閣官房報償費の使用実態にかんする発言がある。このような疑惑を明らかにするためにも、情報を公開するべきではないか?

政府の説明(菅 直人)
1,内閣官房報償費の使用状況にかかわる情報が公開されると。内閣官房報償費の使途について、特定されたり又は事実関係と関係なく様々な憶測がなされたりする可能性があり、その結果、今後の内閣官房報償費に関する事務が事実上困難となり、内閣の政策運営に支障を及ぼすおそれがあるため答えられない。
2,過去、その時々の内閣官房長官の判断により執行された内閣官房報償費について、現内閣として実態をあきらかにすることは困難である。内閣官房報償費についての説明責任はその時々の内閣官房長官が自ら判断することが適当である。

 

まとめ

・内閣官房報償費は機密性が高い文書であり、情報公開のハードルは高い。
・繰入や支払合計金額は最高裁判決があるので、公開される可能性が高い。
・請求の際の文言は、最判を参考に作成すると特定性が高いと思われる。
内閣官房報償費関係書類↓(平成27年10月22日地判はまだ検討してない)

出納管理簿   ×平成19年答申

△最判平成30年政策推進費の繰入に係る記録部分を開示

内閣官房長官が国庫からの支払を受ける都度又は役務提供者等への支払を行う都度記帳される文書
支出決議書

・政策推進費受払簿

・支払決定書

  ×平成19年答申

△最判平成30年政策推進費受払簿の政策推進費の繰入に係る記録部分を開示。

政策推進費受払簿は,内閣官房報償費のうち政策推進費(施策の円滑かつ効果的な推進のため,内閣官房長官としての高度な政策的判断により,機動的に使用することが必要な経費)について,その受払を記録する文書,

支払決定書は,内閣官房報償費のうち政策推進費以外の調査情報対策費(施策の円滑かつ効果的な推進のため,その時々の状況に応じ必要な情報を得るために必要な経費)及び活動関係費(政策推進費及び調査情報対策費に係る活動が円滑に行われ,所期の目的が達成されるよう,当該活動を支援するために必要な経費)について,役務提供者等への個々の支払の都度,当該支払の確認を行うための文書,

報償費支払明細書 ×平成19年答申

△最判平成30年政策推進費の繰入に係る記録部分を開示

 

報償費支払明細書は,使途を目的別に分類した上で,毎月の支払額を記載した文書であり,計算証明のため会計検査院に提出されているもの
報償費支払明細書のうち調査情報対策費及び活動関係費の各支払決定に係る記録部分 〇平成27年10月22日大阪公判

×平成30年↑の最判

領収書 ×平成19年答申 役務提供者等への支払が行われる際に,支払の確認のため収受等を行っているものである。
支出負担行為即支出決議書 〇平成19年答申に記されている特定請求
飲食費の支出明細書 ×存否応答拒否 ※ 特定期間における特定の具体的な使途に係る者に限定した開示請求であるから、、、答えるだけで、、、使途を、、。
入金になった預金通帳の写し ×(平成21年答申)保有していない。
寄付金の支出明細書 ×存否応答拒否(平成21年答申)
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北原 伸介

情報公開請求や公文書の管理に関心が強い行政書士。 taroimo1030@gmail.com (電話)080ー7172ー8669 (FAX)03-6850ー8573 お問合せは無料です。文書に関するものでしたらあらかじめFAXいただくとスムーズです。