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(情報公開請求)行政文書一件、件数について

2023年8月10日

情報公開請求法に基づくの手数料の計算の単位は一件です(情報公開法16条)。そもそも一件とはどのような単位なのでしょうか?
(注)地方自治体などでは手数料の計算方法や金額が異なります。件数に関しては無料の自治体も多いので確認してみましょう。

一件の概念の作用

一件の開示請求という概念がなぜ必要なのでしょうか?次のような作用があります。
・手数料計算の単位として
・開示請求書の枚数に関して
・文書の特定に関して
開示請求書の枚数に関しては、「行政文書(又は相互に密接な関連を有する複数の行政文書)ごとに別葉の開示請求書でもって開示請求書が行われることが望ましいと考えられています(厚生労働省「情報公開事務の手引」5頁参照)。

一件の考え方

 一件という考え方は、情報公開法にはでてきません。情報公開法16条では手数料に関しては政令で定めることと示されています(16条)。それを受けて、政令13条に「行政文書一件につき」との文言が出てきます。
 「行政文書一件につき」に関しての考え方は政令13条2項に書いてあります。それによると。
 ① 一の行政文書ファイルにまとめられた複数の行政文書。
 ② 相互に密接な関連を有する複数の行政文書
とされています。
 公文書の管理に関する法律第5条2項では、「行政機関の長は、、、、単独で管理することが適当であると認める行政文書を除き、適時に、相互に密接な関連を有する行政文書を「行政文書ファイル」にまとめなければならない。」と書いてあります。
 そうすると、上記政令の一件の考え方①も「行政文書ファイル」としているので相互に密接な関連を有する複数の行政文書がファイルされていることが分かります。
 結局、一件とは②と同様で相互に密接な関連を有する複数の行政文書である。ということが言えそうです。
 行政文書ファイル管理簿に関しては、こちらの記事をご覧ください。(情報公開)行政文書ファイル管理簿

相互に密接な関連を有する

 上にみてきたことから、「相互に密接な関連を有する」の意味が分かれば一件を理解することができそうです。
 この点、厚労省手引140頁では以下のように書かれています。
「相互に密接な関連を有する複数の行政文書の範囲については、当該行政文書の内容等により客観的に判断されるものである。
具体的には、例えば、
・要請と応答に係るもの、
・訴訟・審判手続き等における一事件に係るもの、
・参照の旨が記載されている場合の対象行政文書
・通例必要とされる一連の手続に係るもの
・計画と実績に係る関係にあるもの
・会議における決定ごとのその決定と議事録・提出資料
といったものが、法施行時以来想定されている。
反対に49頁では
・他の課等が保存しているもので共同作業に係るものでないもの
・年度を異なる行政文書ファイル
は一般的には、相互に密接な関連を有しているとはいえないと考えられると記載があります。
上記に関してのの不服申立の例として
平成24年度(行情)答申 第 339号があります。リンク
・平成24年度(行情)答申 第 258号 リンクでは同一の研修に使用された資料を一件として開示請求がなされました。しかし、資料は各部内講師の所属機関において保有・管理されている実態やその内容取扱いの経緯に照らし「相互に密接な関連を有する行政文書として認めることはできない。と判断されています。
・ 平成24年度(行情)答申 第 156号 リンク では最高検察庁が作成した別紙の決裁を行った3人の職員の人事記録が一件として請求されました。
答申では、人事記録は、各職員ごとに作成されるものであり、保有行政文書ファイルにまとめられた文書ではなく、また、別の職員の当該文書と相互に密接な関連を有する行政文書でもないため、各職員の人事記録ごとに開示請求にかかわる行政文書1件として取り扱われることになるとの処分庁の説明を採用しています。

当事務所の紹介

東京都中野区の行政書士事務所である北原伸介行政書士事務所では、情報公開制度に関する、代理、代行、相談などをおこなっております。

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北原 伸介

情報公開請求や公文書の管理に関心が強い行政書士。 taroimo1030@gmail.com (電話)080ー7172ー8669 (FAX)03-6850ー8573 お問合せは無料です。文書に関するものでしたらあらかじめFAXいただくとスムーズです。