美容師業務委託契約書
サロンが美容師に対して業務を委託する場合には契約書をつくることが有意義です。特に資本金が1000万円以上のサロンの場合には「下請法」の適用があります。
目次
雇用契約と業務委託契約は大きく異なるという認識が必要です
事業者の方々は、雇用契約と業務委託契約の違いを強く認識しているでしょうか?
下請法の適用があると、事業者にはいわゆる「3条書面」の作成義務がありますので、美容師が顧客に役務を提供する前に3条書面による法定条項を含んだ書面の交付が必要となります。
3条書面は法定事項の記載された「契約書」があれば、その都度の交付義務は免れることができます。したがって、資本金1000万円以上の事業者が美容師と業務委託契約を締結する場合には「業務委託契約書」を取り交わすことが有意義となります。
業務委託契約では、雇用契約と異なり事業主のその都度の指示に従って業務を行うことはできません。例えば、トイレや待合などの清掃は業務委託契約の内容に入っていないのであれば、個々の美容師におこなってもらうことはできません。仮に行わせて、その分の報酬を支払わない場合などは「下請法違反」となってしまいます。「下請法違反」として公正取引委員会などに通報されてしまう危険もあります。
近時、働き方もさまざまとなり、フリーランスの活躍する場面も増えてきております。その流れのなかで、公正取引委員会のフリーランスと事業者の力の格差から生まれる不具合を調整することに関心が高い傾向にあります。下請法に対する理解は必要不可欠な時代となってきました。
また、業務委託契約書で委託する役務の内容をしっかりと書くことが必要です。美容師業務は美容を本体としますが、上述のように清掃や受付などさまざまな業務を含みます。他にも、材料に関する取決めや物品の故障に対する責任関係など明らかにしておくことは多数に上ります。
美容業務委託契約とすることの問題点
フリーランスの美容師に業務を委託することに問題はありません。しかし、美容業界の実態としては「雇用契約を潜脱するための、名ばかりの業務委託契約」を行ってしまっていることは多くあるのではないでしょうか?
皆さん周知のことと思いますが、労働基準法では事業者に対して様々な規制をかけることによって労働者を保護しています。そのためにはコストもかかります。
しかし、業務委託契約とすることでコストをカットすることができます。
働く美容師側からみると業務委託契約では基本的に歩合制となるので、おおくの金銭が支払われているような感覚になるのですが、労働者の確保という面ではコストはかかっていないことになります。
業務委託契約と言ってはいるものの
いくら事業者が業務委託契約であると説明していて、仮に契約書があったとしても、それだけでは業務委託契約とはなりません。業務委託契約であるか否かは、業務の実態をみて判断されることになるからです。
業務委託契約の形態でのサロンが増えてきたのは、雇用契約における社会保険加入が強制になってきてからであると記憶しております。
理美容業界では、過当競争による収益の圧迫が苦しいなか社会保険の負担はたいへんです。その負担を軽減するために、多くの会社が従業員の給与を引き下げたと思います。
しかし、なかには社会保険負担を免れるために雇用契約を業務委任契約に改めて、コストをカットするというスキームを作る事業者も多くありました。そして、そのような事業者は今日も多数存在しています。
その理由としては、当局による調査が不足していること。働いている従業員も雇用形態には無関心であるということがあげられるでしょう。
フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン(案)からみえるもの
上記のように、雇用におけるコストをカットする動きは理美容業界だけにみられるものではありません。正社員よりも派遣者員が多いみたいな状況は広く知られてますが同様に、一人雇うよりもフリーランスに外注するみたいな形で仕事を進める企業が増えています。
それに相まって、働き方の多様化も拍車をかけたこともあり、フリーランスとして働く人が増えてきました。また、マッチングもクラウドワークスに代表されるようにオンラインで行えるように進んできました。
その結果として、フリーランスと企業の間の規制を周知する動きが出てきています。その一つに、フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドラインを策定しようという動きがあります。
このようなガイドラインができて、規制の周知が進めば不適正な形での業務委託契約をおこなっている会社は非常に危険な状況になり得ると思います。
理美容の事業者様は、厚生労働省への通報などに非常に敏感でいらっしゃいます。その理由は、労基法の潜脱やグレーゾーンに関して自覚しているからです。しかし、従業員は労働者としての権利関係に疎いので滅多に通報されることはありません。このあたりが理美容がブラックであるからくりであると感じます。
しかし、業務委託契約となるとどうでしょう?フリーランスは責任も自分で被ることになりますので自己の権利のことも調べています。
上記ガイドラインは下請法違反に関して公取委が絡んできます。独占禁止法を扱う公取委は、その性質上、事件の端緒となる通報を得ることが難しいという時代背景があります。翻ってみれば、通報を行いやすい環境の整備に尽力してきた時代背景があります。
そのため下請法違反はオンラインでの通報窓口なども整備されております。また、DMによる優越的地位の濫用に関するアンケートなども実施しています。
このような、状況の中で業務委託契約を結んでいる理美容師と関係が悪化してしまった場合には、委員会による調査を避けることはできるのでしょうか?非常に疑問です。
他の産業と比べると規制が甘い。それに甘えることは正当?
理美容業界は、建設業などと比べると随分と法律を遵守していません。規制が弱い傾向にあります。それは、国民の法益にそれほどひびかない業種であると言えばそれまでですが、、、。
その結果、法令に対する認識が甘い傾向にあります。
しかし、そのような状態は甘えにほかならないのではないでしょうか?
仮にほかの産業の方から嫉まれてしまったら、、。それに、理美容業界では従業員が退職するときには、たいていは会社を恨んでいるケースが多いと思います。
今の時代第三者が行政処分をもとめることは容易です。同様に、従業員が行政処分をもとめることも可能なのです。処分又は行政指導を求める書面作成サポート
多くの、理美容業者は法律にお金をかけません、それだけ業法をないがしろにしています。他の業種に比べると、現実にはとても危険な状況にある企業が山ほどあるということを感じてしまいます。
当事務所では業務委任契約書を作成しております。
当事務所では、理美容室の業務委託契約書の作成をしております。同契約書は雇用契約と判断されないように作成しております。もっとも、上記のように雇用契約の潜脱として利用されることを防ぐために、ご連絡を頂いた事業者様にのみ雛形を公開しております。お手数ですがご連絡の上、通知パスワードを利用し雛形を参照していただくようにお願いします。理美容室業務委託契約書ダウンロード
ひな形を基本として、御社用に書き直し契約書を作成しております。原則として契約書の作成料金は業務委託契約を結ぶフリーランスとの折半になっております。そのことを鑑みて料金を判断してくださればと思います。
作成料金 8000円
(業務内容) 打ち合わせを行い、業務委託契約書の御社専用の雛形を納品すること。
北原 伸介
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