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特定行政書士考査受験体験

 先日、特定行政書士考査に受験してきました。2024年11月14日に合格発表がありまして、合格することができました。
 研修や試験を通じての感想などを書いていきたいと思います。なお、感想等は個人的な意見となります。
 行政書士制度に関して

特定行政書士制度について

 ひらたく言うと、特定行政書士制度は、行政書士が作成した書類が存在する許認可等に関する審査請求等の不服申立てを、行政書士が代理してすることができるとする制度です。
 この制度は、弁護士法72条ただし書き「他の法律に別段の定め」に該当する規定と解されます。
 いわゆる、非弁行為に対して、紛争性必要説を取る場合には「審査請求等」は紛争性を帯びているので行政書士はできません。しかし、特定行政書士であれば、ある一定の要件を満たせば審査請求等の代理を行うことができるという訳です。

特定行政書士制度に対する私の評価

 法律に違反する、非弁行為には罰則が設けられており、この制度が保護する利益は重大であることが分かります。ちなみに、保護される利益は、国民が受ける法律事務の水準を高いレベルに保つことであると解釈できるでしょう。
 そうだとすると、一定の要件を満たす場合に行政書士が審査請求等をできるとする特定行政書士制度は、とても重いものであると評価することができます。

法定研修の感想

法定研修は18の講義(18時間)を受けることにより行われました。1か月半程度ですべて受講する必要があります。

また、テキストのほかに2冊のサブテキストが配布されましたので読む必要があります。

講義は、有名な学者さんや官僚の方、弁護士の先生などがおこなってくれました。

 私は、法律は独習者でしたので、このような著名な方々から講義を受ける機会が楽しくて仕方なかったです。なかには、普段から読んでいる基本書の著者である先生なども登場し、胸が熱くなりましね。
 講義の内容は、基本を抑えたり事例をもとに法律を使うもの、また、行政法の問題点の意識を搔き立てるような内容もありました。とても充実した良い時間でした。
 また、先生方が、少ない講義時間のなかで法定研修を組み立てるのは非常に大変なことだろうなと思いました。

法定研修のテキスト等

 特定行政書士は上記の試験を受けた後、考査(試験)に合格する必要があります。研修の開始が8月上旬で考査が10月20日なので2か月半程度の時間は勉強時間として使えます。
 配布されたテキストは「法定研修テキスト」『行政書士のための行政法』『行政書士のための要件事実の基礎』の3つです。
 2か月半勉強できるといっても、仕事もありますし上述の講義18時間を捻出しなくてはならないです。
 さらに、3つのテキストもやらなくてはならないのです。

試験問題に関して

 上述のように「講義+テキスト3つ」をやる必要があるのですが、試験問題に関しては問題があります。
 それは、そこから問題が確実に出題される試験ではない。ということです。
 つまり、行政法総論、行手法、行審法、行訴法、要件事実等、行政書士倫理の「知識、理解度を問う試験」であるということです。
 令和6年度、特定行政書士考査の合格率66.9%でした。しかし、それは行政書士先生方が優秀なだけで、試験内容は難しかったと思います。

対策

  私は法律は独習者でしたが、法律が好きであったので行政書士になる前から、民訴法基本書3冊程度、司法研修所要件事実、は読んでいました。
しかし、それらは5年以上前のことなのですっかり忘れていました。
 今回、限られた時間の中で「講義+テキスト3つ」で、それらの理解度や知識を習得することは私には現実的ではないと思いました。
 ということで、法定研修が始まる前に、少し復習しておくことにしました。
使ったテキストは↓
・宇賀克也『行政法概説Ⅱ行政救済法〔第5版〕』有斐閣、2016年(行審法、行訴法の復習と発展のために。)
・藤田広美『講義 民事訴訟法〔第2版〕』東京大学出版、2011年(弁論主義の復習と要件事実の練習に、事例がついてて良い。#民訴の本には要件事実まで書いていないものが多い。)
・司法研修所『新問題研究 要件事実 付 民法(債権関係)改正に伴う追補』法曹界、令和2年
(要件事実の代表的なテキスト)
特定行政書士試験に使用したテキスト

要件事実科目に関して

 要件事実科目に関しては、
・ 弁論主義の理解
・ 否認と抗弁の判別
を中心に学習を重ねました。

研修中

 研修中は講義を受けながらテキストをチェックしました。サブテキストである『行政書士のための要件事実』は復習用に使っていた『新問題研究 要件事実』より読みやすい工夫がされていたのでこちらに替えました。

研修後試験前

条文をしっかり読み込みました。「なんてったって条文だよ」「条文から離れない」というのが自論です。

条文の読み込みが甘くなってきたので、電車の中で法制執務に関する本を読むことにしました。こうすることで、条文に対する興味が増します。

そんなこんなで、試験に対応できる状態になってきていると感じていると同時に、試験勉強に飽きて来て集中できなくなってきました。私にとって、これはいつものことで、どうしても「つめが甘く」なってしまうのです。

 そのため、どこかに過去問でもないかなぁ~と探していたら、令和5年度より特定行政書士考査の過去問が公開されているではないですか。
 完全にリサーチ不足でした。過去問を解いたのは試験の3日前となってしまいました。けれど、まずまずの得点でした。

試験当日

 試験当日はとても不安でした。試験は午後2時から開始されて4時に終わります。
 私は普段、朝6時から16時に活動しています。14時からは基本的にガス欠状態となりパフォーマンスが著しく低くなる時間なのです。今回の試験の時間帯は苦手時間なのです。
 当日の朝はいつものように、朝6時に起きて日課の運動(縄跳び)を行いました。なるべく体力を温存したいところです。
 しかし、普段と異なり時間があるので普段の3倍の時間運動してしまいました。時間があるので完全に調子に乗っています。
 普段と異なり自由時間があることを良いことに、この悪い行動はさらに続くことになります。
 朝食兼昼食は朝マックにしようと考えていました。よく食べることから、おなかを壊すような心配がないからです。
 しかし、この日は、時間があることを良いことに、家でパスタをつくることにしてしまいました。しかも、どうせ作るなら新メニューに挑戦だということで、ドタバタした展開になってしまいます。
 結局試験会場にギリギリに入る展開となってしまいます。試験中は最初の10分くらい、頭が回ってない感じがありましたが比較的落ち着いて問題を解くことができました。
 試験の感想としては、想定していたより難しかったです。そのため、合格発表までの時間が嫌でした。
結果は、まずまずの得点で合格できました。
受験された先生方や事務方の皆様、お疲れ様でした。

今後

 合格できたので日行連により、12月上旬に行政所登録に付記が行われるようです。付記が行われると晴れて特定行政書士の業務を行えることになります。
 私が主としている、情報公開関係にはこの資格が有意義であることは間違いありません。
 また、特定行政書士制度が必要な相談もポツポツ経験していましので、この資格が欲しくて仕方がありませんでした。
 行政書士として相談を受ける際には、多くの場面で、弁護士法72条ぶつかります。弁護士法を常に意識する必要があります。このことは、業務の性質上、回避することができないものです。
 特定行政書士になることで、特定の要件を満たす審査請求に関しては、弁護士法72条の特別の規定として、審査請求に関する相談を行うことができます。これは、とても幸せなことです。
 この制度を上手に使って、自己の良い部分を発揮し行政書士法1条の目的を達成できるように、進んで行こうと思います。
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北原 伸介

情報公開請求や公文書の管理に関心が強い行政書士。 taroimo1030@gmail.com (電話)080ー7172ー8669 (FAX)03-6850ー8573 お問合せは無料です。文書に関するものでしたらあらかじめFAXいただくとスムーズです。