テナントを契約するときの使用目的
こんにちは、美容師で行政書士の北原です。
私は千円カット専門店を経営しながら、行政書士の資格をとって、事務所を開業しました。はじめのころは、カット専門店の営業を週の半分程度にして空いているテナントを使って行政書士事務所として営業しようと考えていたのですが、それは結果的にかなわなかったです。以下、問題となったポイントを振り返ります。
今後、美容師をやりながら事務所やら、他の業種も取り入れてみたいと感じている方々の参考になれば幸いです。
テナントの使用目的に関して
私は、千円カット創業のときから行政書士事務所としてもテナントを使うことは計画しておりませんでした。ですので、賃貸借契約を交わすときの、使用目的は「美容室(カット専門店)」として契約を交わしました。その後、行政書士事務所としても使いたいということになり、大家さんの承諾を得る必要があることになります。
私の場合は、大家さんはこころよく承諾してくださいました。行政書士会では、テナントについての使用権原承諾書が必要となるケースもあるために「使用承諾書」を作成する必要となりました。
行政書士実務を初めて学んだのですが、車庫証明などで大家さんの使用承諾書の作成を不動産屋さんに頼むと7000円近く費用がかかる場合があります。行政書士が大家さんに説明して使用承諾書を作成するときにも、いい顔をされないケースもあるみたいです。
使用承諾書が許認可に必要となるケースもありますし、のちのち、他の事業にもテナントを使いたい方は、初めの賃貸借契約のときに使用目的を広く設定しておく方がいいでしょう。もっとも、事業用保険に入る方は保険の費用がかさむ可能性があります。特に最近流行りの美容室とカフェ営業などは、飲食店も目的となるために後々の承諾を得られる可能性は低いとも感じます。
また、使用目的に対する承諾を得ていないのに、目的外使用を行いますと契約を解除されることにもなりかねません。賃貸借契約は信頼関係を基礎としていますので、しっかりと大家さんの承諾は得る必要があると考えます。
(ポイント)
・使用目的は広いと良い。
・承諾を得られない場合ももちろんある。得られたとしても、使用承諾書や契約書の書換が必要となる場合がある。
美容室と行政書士事務所を併せた店舗をつくるには。
結局私は、千円カットと行政書士事務所を同じ場所で作ることはできませんでした。どのあたりにつまずいたといいますと。
二つを併存させる面積が足りなかったということです。東京都では、美容の業務を行う1作業室の免責は13平方メートル以上でなくてはならないのですが、私のカット専門店に行政書士事務所をぶち込むと必要な面積が足りないことになります。もっとも、行政書士事務所の要件には広さに関する規定はないのですが、相談を受けるスペースや個人情報やプライバシーに配慮した保管庫などは確保しなくてはなりません。広さが足りなかったのですね。
ですので結論からいうと、事務所と美容室を同時で構えるためには、美容室の中に事務所が入る大きさのテナントが必要となります。また、士業などの事務所の場合には守秘義務もかかわる話をすることになるので、話が漏れてはなりません、設備に対する費用もかかると考えなくてはなりません。それ以外にもいくつか大切な要件があります、行政書士会の、事務所の基準などで確認しましょう。
私の場合はその後、沿線の新井薬師前にテナントを借りることができまして、無事に行政書士登録をおこなうことができました。
まとめ
近年、副業を行うことは当たり前になりつつあります。
そうなると、テナントや住居の使用目的が複数になると考えられます。
商売を始める人は、起動に乗ったあとにやりたいことまでも頭の片隅においてテナントを探す必要があると思います。また、大家さんの方でもさまざまな業種に対する知識が必要になってくるかと感じます、例えば騒音に関する条例や消防のことなど。複雑な世の中になってきていると感じます。その点、許認可を仕事としている行政書士は守備範囲であります、ご相談などお気軽にご連絡いただければ幸いです。 キタハラ
北原 伸介
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