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理美容室向け、高齢社会にどのように対応するか考察する。

2022年8月1日

 私たちの日本は、超高齢化社会を迎えています。美容師としてカット専門店を経営する一方、行政書士として活動している私は、行政の意見と現場の経験を吸収できる立場にあります。もともと、行政書士の資格を取得する理由の一つとしては、いわゆる2025年問題と言われる、高齢社会に対応できるだけの知力を身につけることが目的でした。そうして、今現に2025年問題は訪れています。現在において、皆様の参考となるような情報を提供できれば幸いです。

高齢者の特徴

 「高齢者」とは、何を基準にして類型化するのでしょうか?高齢者虐待の防止高齢者の養護者に対する支援当に関する法律(以下、高齢者虐待防止法)では、「高齢者」を65歳以上の者と定義しています。

 しかし、理美容室現場で働く私たちにとっては、少々違和感を感じる定義ではないでしょうか?なぜならば、65歳というとまだまだ、若いお客様もたくさんいらっしゃいますし高齢者というには現実に合致していない気がするのです。

 それもそのはずで、高齢者虐待防止法の中で虐待等の禁止の対象となる人は、ご家族などの「養護者」と「養護施設従業者」と限定されているので、虐待の起こりやすい対象を65歳以上と広く定義することでバランスがとれると考えられるからです。

 しかし、実社会でサービスを提供する私たちは、高齢者を「65歳以上」と定義することは適切とは言えないと考えます。普段から寄り添っている「養護者」ではないからです。それに、養護者には高齢者に対する言動をも一定程度制限されております。(2条4項)このことは、虐待の防止という点から見れば好ましい事とは言えますが、ひるがえって考えれば、「65歳以上となると、誰も正直に接してくれないし正直に接することができない。」という事を法定したものであって、ある意味では高齢者の人生の彩が失われることにほかなりません。65歳以上になると、まるで、ドラクエの町の住民(NPC)のように都合のいい対応しかしてもらえない世界は悲しいと感じます。

 それでは、私たちの基準としてはどのように考えればよいのでしょうか?

 この点については、法定化もされていませんし自分たちで解釈を行う必要があります。筆者の考えとしては、「高齢者」とは、加齢によって何らかの障害を抱えている徴候の疑いのある者。として判断することが有用であるのではないかと考えます。

 そのように判断することによって、障がい者差別基本法によって示されるガイドラインに乗せることができます、高齢者に対する一定の保護を活用することができますので、保護の充分生は確保することができます。また、障害を抱えている徴候がないのであれば、仲間とせっする気分でコミュニケーションをとることができますから、人間関係の彩を失うことにはなりません。このあたりは、議論を煮詰めていく必要を感じます。

 それでは、高齢化により何らかの障害を抱えている徴候のある者の特徴を考えましょう。

特徴を踏まえてどのように接するか?

 高齢化により何らかの障害を抱えるとは、どういうことでしょうか。

① ひざや腰が痛いなどの身体的な問題があります。

 これらは、身体的なものであることから、店内設備を充実させることで対応ができることとなると考えます。

② 日本における65歳以上の5人に一人が認知症と言われています。厚生労働省はホームページ参照。

 私たち営業者には、基本的には「営業の自由」や「契約の自由」を有しています。ですから、上記のような問題に対してどこまでサービスを提供するのかは、事業主の自由であると考えることが原則となります。しかし、社会福祉からの要請により営業の自由にも一定の配慮が求められます。

 その一つとして、「障害者差別解消法」があります。社会には様々な障害のある方がいますが、皆で暮らしやすい社会を実現することを目的の一つとする法律です。

 それによると、東京都の事業者に対しては

①不当な差別的取扱いの禁止(法的義務)

 不当な差別的取扱いとは、障害を理由として、正当な理由なく、サービスの提供を拒否したり、条件を付けたりするような行為を言います。

 「正当な理由」に該当するかどうかは、具体的な状況に応じて、総合的、客観的に判断することが必要です。例としては、安全の確保、事業の維持、損害発生の防止などの目的の維持などは正当な理由と考えられることが多いでしょう。

 たとえば、美容施術中に適切な姿勢を維持することができない顧客に対して、無理な姿勢で業務を行っていると、施術者が体を壊してしまいます。そこまで、無理してサービスを提供することは事業とはいえません。

 しかし、そのような場合でもきちんとした説明をおこなったり、代替案を示し足りすることは必要な事です。くわしくは、各種ガイドラインなどを参照して知識を得ることができます。

②合理的配慮の提供(事業者は努力義務)

 合理的配慮の提供とは、障害者から社会障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合にその実施に伴う負担が過重でないときに社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組を行うことをいいます。東京都「障害者者差別解消法ハンドブック」より

 努力義務であり違反したとしても罰や制裁などはありませんが。美容室経営者としては、社会の望む姿を体現することで競争では有利に立つこととなりそうです。

東京都障碍者差別解消法ハンドブック https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/tokyoheart/pdf/sabetsu/handbook_code.pdf

インフラとしての理美容室に求められること

 理美容室の数は、コンビニよりも多いといわれます。多くの数と住民に近い距離でのサービスを行うことができる業態であることから地域社会のインフラとしての役割を期待されています。(美容業の「振興指針」)

 2025年問題を抱える社会に対して、私たちに何ができるかを考えることは、美容室経営にとっても有意義なことではないでしょうか?

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北原 伸介

情報公開請求や公文書の管理に関心が強い行政書士。 taroimo1030@gmail.com (電話)080ー7172ー8669 (FAX)03-6850ー8573 お問合せは無料です。文書に関するものでしたらあらかじめFAXいただくとスムーズです。