フリーランス報酬額明示、法案提出へ
2022年9月13日読売新聞朝刊1面より
政府は、組織に雇われずに個人として働くフリーランスの労働環境を整備するため、新たな法律を制定する方針を固めた。仕事の依頼主の企業に対し、業務内容や報酬額を明示するよう義務付け、立場の弱い個人を保護する狙いがある。秋の臨時国会に法案を提出し、会期内成立を目指す。と報じられている。
今の法律で、似たような規制として下請法がある。同法は独占禁止法を補完するものとして昭和31年に成立した。どのように補うかというと、独占禁止法の優越的地位の濫用の法理でフリーランスなどの下請事業者を保護するためには、その行為が「優越的地位の濫用」に当たるか否かの判断に時間がかかってしまう、そのため資本金などの客観的な基準を設け、違反行為についても、原則として違法となる行為を法定した。迅速かつ効果的に下請事業者を保護することができるということだ。
資本金の要件に関しては、フリーランスに対し仕事を委託する事業者で資本金が1000万円以上の事業者は下請法の規制を受ける。今回の新しい法律では、資本金1000万円以上という要件を緩和する方向であるという。いままでは、資本金1000万円未満の事業者のフリーランスに対する優越的地位の濫用行為は独占禁止法でカバーしていた(そのため時間がかかる)。
そのような状況もあるために非常に分かりにくい法規制であるなと感じていた。皆様も同じではなかろうか?その証拠に、弁護士の先生が下請法のセミナーなどを開催すると多くの事業者様が参加するという話を耳に挟んだことがある。
今回の立法で誰にでも分かりやすい法律になればいいと感じる。
法律を創っても、浸透しなくては意味がない。資本金1000万円以下の事業者の法律に対するコンプライアンス意識の向上は必要なこととなろう。また、フリーランス事業者様にも周知して同法が上手く社会に馴染むといいなぁと個人的に感じる。
北原 伸介
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