(情報公開)職員名の開示について
このページでは、情報公開請求で行政機関の職員の名前が開示されるかどうかを書いています。
目次
省庁などの行政機関の公務員の氏名
公務員の氏名も個人情報です。ですので、原則として非開示となるのですが、例外規定である法5条但書イも適用して、「法令の規定により又は慣行により公にされ、又は公にすることが予定されているかどうか?」を基準として公開するかどうかを判断することが運用上の取扱となっています。
平成17年8月3日情報公開に関する連絡会議申合せから「各行政機関における公務員の氏名の取扱いについて」という公文書が発出されています。総務省リンクPDF
上記の文書によると①原則として公開とするが②不開示情報を公にすることとなるような場合③個人の権利利益を侵害することとなるようなおそれのある場合には不開示とする。ということが書いてあります。
そうすると、職員の氏名は個人情報であるので不開示となりそうです。しかし、すでに公表されている氏名などは保護する必要がありません。そこで、職員の氏名の取扱は「不開示ではあるものの「法令の規定により又は慣行として、公にされ又は公にすることが予定されているもの」は公開するとされています。
法令の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されているもの
それでは、上記のような申合せに基づいて各行政機関はどのような運用をおこなっているのでしょうか?
総務省の資料によると、その運用実態は、職員録への掲載や人事情報のマスコミへの提供等の状況に応じて設定されており、各機関で異なると説明されています(総務省資料PDFリンク)。
開示となる根拠としては、多くは職員録(独立行政法人国立印刷局発行等)に搭載されていることを根拠としており、他に行政機関による提供又は報道発表している人事異動情報等が考慮される。とされています。
新聞などマスメディアによる報道が上記の要件を満たすか?が問題となります。つまり、報道が「法令の規定により又は慣行により」と言えるかが問題になります。
この点、答申例の判断は分かれていますがやや消極的です。令和4年(行情)答申703・令和5年(行情)答申205・令和4年度(行情)答申278 このあたりの説明は入り組んだ法律問題なので、概説書にあたることをお勧めします。国会図書館検索リンク
懲戒処分の公表に関して
懲戒処分の公表指針について(平成15年11月10日総参ー786)人事院事務総務長が発出しています。人事院リンク ここでは、懲戒処分の公表対象、公表内容などの運用が示されています。内容に関しては「個人が識別されない内容のものとすることを基本として公表するものとする」と記載があるので、原則として職員の氏名は公表されないと方向性が示されています。
北原 伸介
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