(情報公開請求)防犯カメラは公開請求できるのか?
防犯カメラの映像も行政機関が保有している可能性のある情報です。これらの情報は、情報公開請求で取得することができるのでしょうか?
なお、当事務所では情報公開請求の代理、代行を行っております。よろしくお願いします。
目次
防犯カメラに記録された情報は、情報公開法上は文書に該当するのか?
行政機関の保有する情報の公開に関する法律平成11年5月14日法律第42号(以下、情報公開法)2条2項により行政文書に該当すると考えられます。平成18年(独情)答申62号では行政文書に該当することを前提に審査が行われています。
訴訟に関する書類及び押収物に該当するとされ、情報公開法の適用が除外されるとした例。
令和4年度(行情)答申81号では、以下のような判断がされました。
「特定の被疑事件の存在を前提に、当該被疑事件時間する「防犯カメラの映像とボイスレコーダー」の開示を求める。
検察庁の説明と同じ。
特定拘置所における防犯カメラの運用を定めた文書
平成16年(行状)答申204号では特定拘置所に設置してある防犯カメラ等の運用に関する文書が公開請求され存否応答拒否されました。答申のリンク
審査会の判断
本件にかかわる情報の一部が開示されていること、監視カメラの位置が事実上被収容者側に周知されることをもっても、防犯カメラ設置の目的に照らし、外部に公表しない取扱いとしているものしていると認められる。
防犯カメラ等を導入した趣旨に反し、被収容者の動静の把握が困難となり、矯正施設における事務の適正な遂行に支障を生ずるおそれがあることは否定できず、法5条6号柱書きの不開示情報に該当するものと認められる。本件対象文書については、その存否を明らかにするだけで不開示情報を開示することとなるため存否応答拒否処分は妥当なものと認められる。
(私個人の感想)
「防犯カメラ目的の趣旨に照らす」とすると広域な射程となることが考えられる。防犯=不開示となってしまうと、原則公開とする情報公開制度の趣旨との相性が悪い。
列車事件に係る調査報告書内の車内の防犯カメラ記録の不開示を争った例
第79回情報公開・個人情報保護審議会議事録
感想
防犯カメラに関して、行政機関等に対する情報公開で情報が公開されるか?について。上のように、限定された情報しかまだ読んでいませんが以下のような感想を持ちました。
- 防犯が目的であるカメラは、開示されにくい。
- 捜査の過程で入手したもの
- 防犯カメラの設置自体が、公表されないことを前提としている習慣があること。
- 資料として提出されたものなども、公開されないことを前提に提出されている。
以上のように「防犯カメラ」とされるものは公開が限定的であると感じます。
進んで。
- 「防犯カメラ」の記録でもライブで見られるものがネットで公開されています。その場合にはどのように考えればいいのでしょうか?
- 河川などを対象とした「監視カメラ」と「防犯カメラ」の境界が問題になると思います。
- バス等のドライブレコーダーの開示に関して問題となる。
北原 伸介
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