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(情報公開請求)職員のメモは開示請求の対象となるのか?

2024年2月20日

開示請求できる文書に職員のメモは含まれるのでしょうか?そのあたりに関して書いていきます。

情報公開請求の対象は

情報公開請求の対象となる情報は行政文書です。
 行政文書とは、①行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であること。②その文書を組織的にもちいるものとして、③保有しているものをいいます。

メモの場合の問題点

 上記の3要件を満たすと行政文書としてあつかわれて、開示請求の対象となります。中でもメモの場合には上記②の組織的にもちいるものとして、という要件が問題になることが多いと考えられます。メモは個人的に作成することが多いでしょう、組織的に利用することを考慮せずに作成することも多いと考えられるからです。
 どのような基準で組織的に用いるものであるか否か?を判断することに関して、閣議決定及び審査会は「当該文書の作成又は取得の状況、利用の状況、保存または廃棄の状況などを総合的に考慮して実質的な判断を行うのが相当である。」と述べています。答申26(行情)586。平成22年12月7日閣議決定(内閣衆質176第213号)←菅直人総理のころ
 上記のような事情を「総合的に考慮して判断する」としていますので、行政機構による判断が不服申立(審査請求)や訴訟により判断が覆る可能性があると言えそうです。

2015年第44回公文書管理委員会、行政文書(法人文書の範囲)

 第45回公文書管理委員会では、職員のメモに関して議論が少しなされています。公文書管理委員会議事録リンク(内閣府HP)18頁以下
 当該審議会において使用された資料中の審査会や訴訟の中で注目される部分があります。それは、審査会の「組織共用の可能性」を考慮する判断や裁判所の判断過程における、「メモの作成状況から「組織から期待されていたと」とみることができる」との事実の評価です。

メモが問題となった事例

メモが問題となった事例としては以下のようなものがあります。
・税務署で収入印紙を取り扱わないことを説明するために特定職員が作成したメモ。職員が携行していたにすぎないとして行政文書と認めなかった例。答申15(行情)641答申検索リンク
・特定学校法人との間で締結された協議の内容を記した特定職員が作成したとされる会議のメモ。内容が重要性であったこと、機構委側として参加したのは当該職員のみであったことから、確認できる文書の作成は当然に期待されていたとみることができることなどを理由として、組織的にもちいるものとして行政文書該当性を認めた。答申24(独情)39 答申検索リンク
・事務引継ぎの際に担当者が作成したメモについて、組織としての関与がなく組織共用性を否定した例。答申26(行情)586
・特定職員が議事録作成を補うために録音した、特定学部教授会等の音声記録。議事要旨を作成するために担当部署で保存、利用されていることから、組織的共用性をみとめて行政文書に該当すると判断した。答申30(独情)12

メモもできる限り開示されることがいいような気もするが、、。

政策がどのように遂行されているのかを知るためや行政機関の透明性を確保するためには、できるかぎりの情報が公開されることが望ましいと考えることができます。
 しかし、あまりにも個人的な文書までも開示されることについては慎重であるべきであるという意見もあります。
 例えば、メモは自由に意見を記すことや研究のために残す場合もあるところ、その状態で開示されると、国民に誤った認識を持たれる可能性もあります。開示されるのであればメモを作成しないようになってしまうであろうという意見があります。

 また、官僚の多くは自分なりにしっかりとしたメモをファイルしているようです。それらのメモは熱意にあふれ、創意工夫がなされている、素晴らしいものが多いようなのですが、開示されることをおそれてしまいメモを作成することがなくなり、もって官僚の良い側面である文化がなくなってしまうとも指摘されています。例えば、

稲葉清穀「情報公開制度(公文書公開制度)の限界とその補完方策(上)」季刊行政管理研究89号2000、3 参照。国会図書館オンラインでも読めます。

 民主主義にとって情報関係は流動的であることが望ましいと考えられますが、そもそも文書を残すことを辞められると、開示請求の意味がありません。上記のような指摘は重要であると考えられます。

 

備考

第69回公文書管理委員会2018年10月事務方発言、リンクPDF内閣府
・補佐段階でいろいろ検討していたものが検討中のフォルダの中には入っているのですけれども、そういうものは大概1年未満ということで、特に保存されない。課長段階まで行って、方針として、ある程度固まったものは記録としてきちんと残るということになろうかと思います。

 当事務所の紹介

東京都中野区の行政書士事務所である当事務所は、情報公開請求に関する相談、代理、代行取得をおこなっております。

 

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北原 伸介

情報公開請求や公文書の管理に関心が強い行政書士。 taroimo1030@gmail.com (電話)080ー7172ー8669 (FAX)03-6850ー8573 お問合せは無料です。文書に関するものでしたらあらかじめFAXいただくとスムーズです。