高齢化社会について思うこと。
こんばんは、中野区の行政書士の北原です。プロフィールにもある通り私はカット専門店との兼業行政書士です。
千円カットは町のさまざまな方が来ます。サービス業のなかでも、理美容業界の数はだんとつです。建設業の10倍くらいの店舗数があります。
それでも、理美容に対する需要は多いいです。行政書士になった私が痛感しているのは「仕事を取る難易度が高いこと」。私は、自営業として千円カットを2店舗オープンしているのですが、何らかの営業活動を行えばすぐに仕事を獲得できる感触はありました。(もっとも単価は低いですが。)しかし、行政書士となると話は違います。(単価も知名度も違います。)
理美容が強いのはそれなりに理由がありそうです。
そんな中で私行政書士になった理由の一つとして、「2025年問題と戦えるように!」との目標がありました。それは、千円カットでの営業を続けているうちに高齢化社会へ恐怖を感じていたからに他なりません。
そうして、行政書士になって町の前線である千円カットも行っているのです、その経験をもとに書いてゆきます。
目次
思ったよりも高齢化のペースが速い。
行政書士になる前にも、高齢者のお客様を抱えておりました。
高齢者のみなさまは散髪のサイクルが定期的であり、1か月半内にはご来店下さいます。すなわち、1か月半毎に私は、高齢者のみなさまの様子を見ることができるのです。
この点の理美容室の強味を意識してか、理美容室を町のインフラとなるように期待する行政の提案は多いです。(理美容室振興指針)など。
認知症などは思ったよりも進んでいる。そして気づけない。
行政書士となった私が直面したのは、現実は厳しいというものでした。普段は月に1度顔を合わせているお客様の症状は私がおもっている以上に進行していました。
こんな事例があります。
行政書士の登録をしたことをお客様に伝えると、「頼みたいことがあるから、後日相談に伺いたい」と言われることがよくあります。
約束の日時になっても来る気配はありません。私としてはスケジュールも組んでいますし、相談が来そうな事は下調べもして待っているのですが、、。 なかには、とても具体的な案件で、「見積を用意しておいてくれ」とかの話もありました。当然にすっぽかされました。
私は、その話の後に業務について調べまくっていたので知識だけはつきました(泣)。契約書や見積書、チェックシートや委任状まですべてが無駄になりました。しかし追求する気にもなりません、毎月顔を合わせているにもかかわらず、その傾向を見落としている私が甘いのです。
私が相手方の高齢化による不利益をうけたとしても、それを本人の責任にすることは私としてはできません。仕方のないことなのですと思うのです。もっとも、法律上は賠償責任を問うことは可能ですし、後見人がいれば取消権を行使すれば被後見人の保護もできるので不具合は少ないでしょう。しかし、そんな気にはなりません。
次の月には平気で散髪にご来店いただけますが、相談のことなど忘れています。これは、私にとっては以外な事でした。なぜならば、散髪の注文などはキチンとこなせるので特に認知症などの症状は無いと当時は感じていたからです。
毎月、顔を合わせていても症状は分からないのです。
すぐに気が付けるケースもある。
定年前から当店を利用して下さっている方は、定年前はとても元気です。「来年には定年で時間に余裕ができるから、平日の昼間に来るよ!」とか、「時間に余裕ができるから遊びまくる計画だよ!」とか、艶やかな顔色で話してくださいます。しかし、現実には定年後も伸びやかに人生を謳歌できない場合はあります。
定年後一年もしないうちに、生活がままならなくなってしまったり、凶暴化してしまったりして手に負えない状況になってしまったり。
そのような場合には、そこへ至る前に徴候があります。一言でいうと「こだわりが強くなること」です。
例えば、散髪のケースで言うと左右の誤差にとてもこだわるようになるとか、いつもと異なる店員を許せないとかです。このような場合には、1年内には散髪屋での注文や会計もおぼつかなくなるというような事態に発展することが多いです。わかりやすく高齢化の症状をみて取れます。
もっとも、このケースでは復活するケースも多々あります。典型的なのはご家族を亡くされた高齢者の方などです。
ご家族を亡くされて落ち込んでしまい、認知症の傾向が表れたとしても半年後にはその傾向が薄れている方も多いと感じます。
認知症の傾向があったときには通報してくれというものの。
多くの区報や包括地域センターなどは、認知症の傾向があるときには通報してくれといいます。私なりのザックリとした解釈として、それは本人の同意を原則とします。同意が不要で連絡する場合には、法益が侵害されているおそれがあるとき。同意不要というのは、いわゆるパターナリズムとも共通するような個に踏み入いるためには「何らかの侵害又はその予期」を必要としています。
初めの方に書いたのですが、理美容室には地域のインフラとしての役割を期待されているということ。そうであるならば、認知症の見守りをも期待されていると解されるところでございます。
なので、実際に私はお店でその行為を行ってみました。すなわち、認知症の疑いのあるかたには通報に対する同意書を書いてもらったのです。その結論から申し上げますと「その方は二度と来ない。」です。
二度と来ないのです。そのような状況では見守れません。もっとも、私のお店としては無料での仕事がなくなるのですが。
このような状況になる、すなわち、二度と来ない心情は十分にわかります。おそらく自尊心が気付いたのです。
ここで見守りの困難な理由の一つとして以下のことが言えます。「本当に助けが必要な方はそのことにも気づいていない。」とのこと。
なるほど、自己のことを客観視し高齢化による不具合を、社会問題ととらえることができるようであれば、その方は聡明である。ということもできそうです。
ならばどうする?
原則として同意であることから、同意を得ようとすると、その人はいなくなります。ならば、いっそのこと通報に関しては同意をいらなくすれば良い。とのことになりそうですが、それには人権上大変な問題をはらんでおります。そもそも、「何ゆえに国家が個人の生活に介入できるのか?」には大きな疑問があります。ほっといてくれと個人が願い、社会への法益侵害(自傷を含む)がないのであれば介入の理由を見出せないのではないでしょうか?
そのように考えるのが、人権を考える上では定石だと思います。
しかし、杉並区高齢化は「いまだかつて人類が経験していない高齢化」といっても的外れではないでしょう。つまり、私たちは何かを考えだして調和を保つべく時期にきているのではないでしょうか?すなわち、憲法で保障された各々の個性を基に多様な意見を出し合って乗り切るべき問題なのではないでしょうか?
私個人の意見としては、いわゆる推定的同意などが問題解決の一つの参考になるような気がします。
北原 伸介
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