(情報公開請求)情報公開請求書にプレスリリースを添付する利点。
新聞などの報道から、情報公開請求を試みることがあります。もっとよく知りたかったり、行政機関のその後の対応を文書で確認することができるからです。
また、報道を根拠にすると情報公開の請求書も書きやすいかと思います。
その場面で、開示請求書を作成する際に、報道の情報をプリントアウトして請求書と一緒に送るかどうか迷うこともあると思います。
皆さんはどのようにしているでしょうか?
私は、結論から言うと同封したほうが良いと考えています。以下書いて行きます。
プレスリリースを添付したことで、請求者に有利に働いた事例
プレスリリースをもとに情報公開請求が行われた事案に令和4年(行情)答申179号があります。
本件は、3年10か月前のプレスリリースをもとに、厚生労働大臣に対して「特定事業場への是正指導文書控え」を公開請求した事案です。
本件における「特定事業場への是正指導」があったことという事実は、本来であれば情報公開法5条2号イに該当します。公にすることにより当該法人等権利、競争上の地位その他正当な利益を害されるおそれ、が認められるからです。よって存否応答拒否とすることが考えられます。しかし、すでに公にされている情報であれば保護する必要がないので開示されます。
諮問庁はプレスリリースとして公表されているので、存否応答拒否とせず公表範囲以外を不開示として処分しました。
審査委員会は上記のような説明に対して、以下のように答申をしました。
「報道機関向けにプレスリリースがなされているが、本件開示請求までに3年10か月余りが経過しており、一般的には、本件開示請求時点では、公表資料の記載内容は、もはや観光として公にされている情報とは認められないとすることが相当と解される。
しかしながら、本件開示請求に対し、処分庁は、本件対象文書を特定したうえで、全部不開示とする原処分を行っている。この点について、等審査会事務局職員をして諮問庁に確認させたところによると、プレスリリースが本件開示請求書に添付されていたことを踏まえ、存否応答拒否ではなく本件対象文書を特定したとのことであった。」
と述べ、さらにそのサイトは今でも閲覧できるという事実を認定して存否応答拒否としなかった処分を妥当であるとしました。
このように、プレスリリースが添付されていることにより、請求者に有利に働いた事例があるということです。したがって、プレスリリースを添付することはそれなりに有意義であるということが分ります。
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北原 伸介
情報公開請求や公文書の管理に関心が強い行政書士。
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