美容師の良さを語る。
このページでは、美容師の魅力を語ります。筆者は美容師資格と行政書士資格を有しています。その目線から良さを語っていきます。ですから、主観的なコラムとなります、盲目的に信じない方がいいと思われます。最終的には自分で考えること,批判的に読むことも大切です。筆者の経歴はホームページのご挨拶に書いてあります。よろしくお願いします。
目次
美容師資格と美容業
美容師の資格は美容師法3条に定められた国家資格です。試験によって免許が与えられます。
美容師でなくては美容を業としてはならないと同法6条に定められています。いわゆる、独占業務が国家によって与えられているという事です。資格のないものが美容を業とし行うと罰則が科されます,30万円以下の罰金(美容師法第18条1号)。
独占業務を有する資格ですので、誰でもできるという仕事ではありません。ひるがえって言えば仕事を得ることができやすい資格であるということがいえます。
美容業は、衛生的で、かつ、容姿を美しくしたいという国民の文化的欲求にこたえるサービスです。国民生活の充実に寄与するものです。これだけでも、やりがいは充分ですね(平成31年3月7日厚生労働省告示第58条)参照
業態の特徴としては、業務の成果がハッキリと見えるということ。いいかえれば、自己の技術でお客様のキレイになることを見ることができる。ということです。このことは、当たり前のように聞こえますが、自分の仕事の成果が見れる仕事は多くはありません。例えば、企業さんでいうと、営業部門が商品を開発して納品するわけでわないのですよね。
私たち美容師は営業活動もしますが、お客様を担当して、施術による成果をみることができます。それは、やりがいにつながる大きな理由の一つでもあります。(カールヒルティ『幸福論』仕事のしかた、参照)
美容師資格取得と実務経験を積む手段、向き不向き?
試験を受けるには美容師養成施設(美容学校)で美容に対する学習過程を終えることが必要となります。ちなみに美容学校を統率する機関もあります、けっこう行政による管理が行き届いていますね。美容学校の教員などのキャリア形成もあり得ます、興味のある方は調べるのも良いでしょう。
試験を受けるために通学する過程は、1昼間家庭2夜間課程3通信課程のいずれかとなっております。通信課程は低廉な費用で卒業できるために、社会人でも資格取得を目指せます。私は通信で取得しましたが、課題も主にペーパーですしテキストもわかりやすかったです。実技はスクーリング期間で授業が行われます。
筆者の経験でいうと通信制では学習時間も週に2時間も取れればいいでしょう。社会人の方にとって、実技が障壁となると思われますが試験自体は高いレベルの仕上がりは求められません。お仕事が休みの日に毎週2時間ほど練習すれば平気です。社会人の方では、いかにスクーリング期間に仕事を休めるかが重要な問題となりそうですね。
通信制のために美容学校によるサービスや、財団法人によるカリュキュラムが用意されていたりします。サポートするような制度は充実しているといえます。通信制で国家資格を取るという点だけに注目すると、かならずしも、多くのお金がかかるわけではないのです。しかし、昼間の美容学校では試験合格以上の充実した美容のノウハウを学べることができます。お金がかかるには訳があるということですね。
晴れて、国家試験に合格すると美容師免許がもらえます。ここから、サロンに努めて技術を習得してゆきます。アシスタント時代がはじまります。
サロンに努めるアシスタント時代では、多くの人間関係を経験することになります。
もっとも、人間関係が苦手だとしても、従業員の数が少ないサロンやカット専門店などもありますし十分に働いていけます。美容室といっても、様々なサロンがあります。
お料理の世界をみてみても、様々なお店があります。ターゲットとするお客様によりお店の価値観はさまざまなことは想像ができます。紹介制のお寿司屋さんもあれば、ファミリー層をターゲットとする回転寿司もありますよね。でも、両方とも飲食店です。
このように、異なるスタンスのお店が沢山あります。その中で、ご自身の価値観でサロンを選んで就職活動を行うことになります。周囲にまどわされずに「あなたの価値観で」というところが大切です。あなたの人生を歩むのです。幸福追求権は憲法の包括的自由権ですよ(13条)。憲法上でも「人生の主人公はあなた」のなのです。大切なところですので、もう一回!!「あなたが幸福を追求するのです。」他の人のいう事は参考程度にします。
人間関係が苦手だからといっても不向きということではありません、コミュニケーションが苦手なスタイリストでも多くの指名客をもっているケースも度々あります。お客様にとっては、多くの会話を嫌うケースもあるのです。そして、そんなお客様はズーッと来てくれるケースが多いんですよね。
じゃあなんで人間関係?というと、コミュニケーションが必要な最大の理由としては、スタッフと良い関係を構築しておくことが必要な職場でのことです。俗にいう「アットホーム」を謳っている職場にはありがちです。
美容室の離職率は高いと言われていますが、その原因は職場内での人間関係によるところが大きいと考えられます。しかし、自分に合った職場を見つけることができれば充実した生活を送ることができるでしょう。
経営者としては、離職率は悩ましいところですよね。離職率を気にすることで人間関係に重点を置こうとしがちです。しかし、離職率が少ない職場は「そもそも人間関係をつくらない」職場が多いと感じます。
個人的な意見としては、スタッフ同士の距離をとってあげることが重要です。しっかりと、距離があればセクハラ、パワハラなども発生しずらい状況にあると言えるでしょう。でも、スタッフ同士の距離を広げる代わりに、経営陣との距離を近く保ちます。スタッフよりも経営陣と近い方がテンション上がりますよね普通に。「先輩のために」よりも「御社のために」働いてくれるのではないでしょうか?それはお客様にとっても有意義です。
美容師のキャリアとデメリット
アシスタント時代をどのくらいの期間で終えるかは、サロンによってことなります。伝統を大切にするサロンでは、多くの試験が用意されていて、その分アシスタント期間が長くなる傾向にあるといえるでしょう。美容企業は離職率が高いために慢性的な人不足です。そのために各々の企業は、新人獲得のために「早くスタイリストになれる」を売り文句にする傾向があります。入社のまえに、しっかりと話し合うことが必要です。
スタイリストとしてデビューした後も、2,3年くらいは大変な時期であると言えます。個々のお客様の髪質や骨格や人柄は異なるので、今まで習得した技術を柔軟に適応させていかなければなりません。ですので、ある程度の場数が必要です。しかし、今まで培ってきた、「基本」から大きく外れなければ問題は発生しずらいといえます。練習は嘘をつきません。
スタイリストとしての経験を積んでいくと、お仕事も楽になってきます。仕事はある程度身体が覚えてくれますので、自然にこなすことができるようになります。流行のヘアースタイルや薬剤についての勉強は必要となりますが、週に1時間もとれば取込むことは容易です。
その点、行政書士などの法律隣接職は、日々勉強を一生続けます。街弁などの弁護士先生なんかは、家に帰らないことも多いと聞きます、そのため事務所に布団を用意しておき仮眠をとるそうです。
美容師業務は身体が仕事をしてくれますので、覚えてしまえば「多くの時間を捻出」することができます。しかし、そこには落とし穴があります。
スタイリストととして数年を過ごすと、自信がついてきます。
仕事も楽しくてしょうがありません。しかし、ここからが大切です。
お仕事が楽しいことは、申し分ないことであります。しかも、その仕事は安定したものです。世間からみても手に職のある強い業種です。しかし、ここで満足しない事をお勧めします。もっと、個性を伸ばしていくことが大切です。美容業務以外で、自分の好きな事を継続しておこなっていきます。そうして、その分野の専門性を高めておけば、将来の大きな武器となるはずです。
美容師さんの年収はある一定の時期から増えることはありません、なんなら、一定の時期から下って行くことは有名な話です。けれども、「美容業務」というものの性質上、作り上げる価値の量が有限なのです。そして、髪の毛は伸びてきてしまうので、普遍性を有する価値でもありません。
結局、御社の利益となる「新たな価値を想像する」ことには、美容業務では限界があるということです。そして、それを上回る価値を創造できるのは、個々の興味や関心に基づいた、各種のスキルや人間性若しくは活動内容にあるのではないでしょうか?最終的には「人格」が勝負ということになると考えます。
それは、官庁から出されている美容業に対する振興に対する考え方にも色濃く表れています。競争が激しいなかで美容業の振興を考えたとき、美容以外の業務内容で価値を作り出すようなアイデアが沢山掲載されています。例えば、「高齢化社会に対応するために送迎を取り入れましょう」との取組は多く紹介されています。これは、美容業務に附帯するサービスで、「美容」そのものではありませんよね。
また、顧客との親密なコミュニケーションを掲げる例もあります。例えば、カラーの放置時間でも顧客に寄り添い会話を続けるケースなんかも散見されます。 私は、行政書士なので風営法とのバランスが問題になると感じますね。ガールズバーなどは、長時間に一人のお客さまについて会話することは原則として禁止されています。加熱する競争の中で仕方ないのかもしれませんが、個々の法律とのバランス関係にも配慮しなくてはなりません。新しい時代のなかで、美容師法にも競争規制なり他の法律と連携させるなどしてバランスを取る視点は重要なのではないでしょうか?
美容師資格の強さ
ここまでの話のまとめとなりますが、美容師資格のつよさを考察します。
① 就職ができる。
美容室業界は離職率が高いために、慢性的な人手不足の傾向にあるために一定の年齢以下であれば就職がすぐにきまります。
② 技術を身体で習得することができる。
覚えてしまえば、身体が勝手に業務をおこなってくれます。いままで、出会った上級の美容師さんたちは「仕事中暇でしょうがない、何考えてる?」「晩飯のことです。」みたいな会話が多いです。寝落ちしそうになることもあるでしょう。身体は疲労しても、頭は疲れません。
ですので、頭の体力を使って、他の資格や語学を習得することもできそうですね。シナリオライターや、作家なんかも相性がいいでしょう。料理のレシピを想像したりもできそうです。脳内での仕事の可能性は無限大です。しかも、教養も身に付きますから美容師業務の質も向上します。
③ 独立開業の障壁が低い
こまめに貯金をしておけば、独立が最も簡単な職種の一つですね。指名客がいなくとも独立する人は多いです。もっともマーケティングのスキルが必要です。その点でも、生活衛生関係事業ということもあり、行政や、公庫による丁寧な指導が充実しています。その辺のマニュアルを基本として考えてゆけば、自分で創造する労力もあんまり必要ないかと。
これからの美容師像を想像する。
人生100年時代ということもあり。存分に可能性を秘めている美容師さんたち。なにが可能性と言えるか、それはある程度の肉体労働であるが知的労働に対する体力はあるということ、時間が取れるということです。同時に最低限の賃金は美容業務で簡単に賄えるというところにあると思います。
ある程度の肉体労働というのは、建設現場のみなさまとかと比べると一目瞭然です。私たちの職場には、エアコンもあります。疲れてしまったら、その日の営業をやめてしまうこともできます。過酷な環境の建設現場の皆様はステップアップのために多くの資格試験に臨んでおられます。
私たち美容師はどうでしょうか?
今後の美容室の立ち位置とし行政の意見では、国民のためのインフラとしての立ち位置を確立してほしいというところにあります。少子高齢化や「買い物弱者」に対して生活しやすい環境を、町に多くある美容室の協力を得て実現したいと考えているようです。
新しい価値を創造することには、多くの労力が必要となります。しかし、私たち美容師には、まだまだ考える労力は多くあると感じます。業務を通じて培ってきた想像力や住民の皆様とのコミュニケーションを通じて、地域にとって何ができるのかを考えることが求められているのです。
そうした活動を通じることで、美容室の公益性が強まり国民の信頼も増すことにつながるのではないでしょうか?文化センターに行くつもりで美容室に行くみたいな、高度な公益性をつくることも不可能ではないのではないでしょうか?
ここまで、いっちょまえに語ってきたのですが、私自身、具体的なアイデアがでてきてません。
そこで、皆様各々の知恵を生かして考えてほしいと願うのです。
最初の方で書きましたが、「あなたの人生に対する幸福追求はあなたが決める」との部分がありました。これは個人の「個」を最高の価値だとする考え方であり現代憲法が認める最高の価値です。
その根拠となる理由の一つに、「皆が同じであると社会問題を乗り越えるアイデアが生まれない。」との理由があります。
そこで、皆様の個性を生かした、各々のアイデアで社会問題に対して対抗してほしいと考えます。美容師としての仕事は美容だけでなくて、腐るほどあるということです。
個人的な意見
北原 伸介
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