google-site-verification=gTqqJPuTqfnTMhpfQRE3XQCdHfuNCJaErr-OFsmbkxk

(情報公開法)黒塗りどこまで。審査基準を読む

2024年5月30日

今回は、情報公開請求に関する総務省の審査基準を読んでいきたいと思います。
総務省のものですが、他の省庁でも基本的に同じ考え方をとっていると考えられます。もっとも、地方自治体では、文書の対象の範囲が変わってきますので注意が必要です。

 

審査基準を読む事で、どんな情報が不開情報に該当すると予想できることから情報公開請求の無駄打ちが減ると考えられます。また、審査請求をお考えの方にも有用かと思います。

 

総務省審査基準は総務省のHP、資料のところにあります。リンク

 

詳しくは、審査基準を読むといいと思うのですが20頁ほどと少し長いのです。そこで、このページではザックリと使えるところをまとめてみました。(注)私の表現に代えてありますので原文のような正確性は保証できません。

行政文書該当性

  • 情報公開請求の対象となるのは、紙の文書のほか、図面、写真、電磁的記録が含まれる。
  • 官報、白書、新聞、雑誌、書籍など、発行されているものは請求の対象とならない。
  • 対象となる、文書等は「職員が組織的に用いるものでなくてはならない。」←個人的な作業のためのメモなどは対象とならない。
  • 組織的であるかの判断は、文書をとりまく状況を総合判断する。

個人情報、個人識別情報

  • 死者を含む。
  • 内心、身体、身分、経歴など、その他個人に関する一切の事項についての事実、判断評価等のすべての情報を含む。
  • いくつかの情報が組み合わさることにより、個人を識別することができる場合も個人識別情報として不開示とされる。

法令の規定により公にされている情報(法5条1号イ)

  • 「公にされ」とは当該情報が現に公衆が知り得る状態に置かれていれば足りる

公務員等に関する情報(法5条1号ハ)

  • 公務員等に関する情報も個人に関する情報に含まれるが、職及び職務遂行に係る部分は不開示とされない。※条例に関するものであるが、公務員に関する情報は個人に関する情報に含まれないとした判例もある(松井茂記『情報公開法』有斐閣、2001年、206頁参照。)京都地判平成7年10月27日、
  • 「公務員等」
    • 一般職、特別職を問わない。
    • 常勤非常勤を問わない。
    • 国会議員、裁判官等を含む
    • 退職した者であっても、当時の情報については対象となる。
    • 独立行政法人等の役員及び職員を含む
  • 公務員の職名、氏名について公にされているとされる基準は以下のとおり。
    • 官報への掲載
    • 行政機関により職名と氏名とを公表する慣行がある場合
    • 行政機関が協力して作成された、現に一般販売されている「職員録」に掲載されている場合。

法人その他の団体に関する情報

  • 権利能力なき社団等も含まれる
  • 法人等の組織及び事業に関する情報と権利利益に関する関連性を有する情報を意味する。
  • 権利利益、競争上の地位その他正当な利益を「害するおそれ」があるかどうかの判断
    • 当該法人等又は事業を営む個人の憲法上の権利(信教の自由、学問の自由等)の保護の必要性を考慮する。
    • 行政との関係を考慮する。
    • 「おそれ」は確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が求められる。

国の安全等に関する情報(法5条3号)

  • 「国の安全」とは、国家の構成要素である国土、国民及び統治体制が害されることなく平和で平穏な状態に保たれていることをいう。平和で平穏な状態の例示として以下。
    • 侵略に対し、独立と平和が守られている。
    • 国民の生命が国外からの脅威等から保護されている。
    • 国の存立基盤としての、政治方式及び経済、社会秩序の安定が保たれている。

ことがあげられている。上記のような利益を害する情報は不開示となる。

公共の安全等に関する情報(法5条4号)

  • 「犯罪の予防」一般に公にしても犯罪を誘発し、または犯罪の実行を容易にするおそれがない防犯活動の関する情報は含まれない。
  • 風俗営業の許可、伝染病予防建築規制などの犯罪の予防、鎮圧等に支障が生じるおそれのない行政警察活動については法5条6号の問題となる。

審議、検討等情報(法5条5号)

  • 行政機関等としての意思決定に至るまでの過程の各段階において行われいる様々な審議、検討及び巨異議に関連して作成され、又は取得された情報をいう。
  • 「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」
    • 公にすることにより、外部からの圧力、干渉等の影響を受けることにより損なわれえるおそれ。
    • 内部における政策の検討が不十分な段階で公になると、外部の圧力により政策に不当な影響がでてしまうおそれ。
    • 未成熟である情報、不確実である情報が出回ると、国民の誤解や憶測を招き混乱が生じるおそれ。
  • 「特定の者に不当に利益を与えもしくは不利益を及ぼすおそれ」
    • 尚早な時期に事実関係等の確認が不十分な情報等を公にすることにより、投機を助長するなどによって、特定の者に不利益を与え又は不利益をおよぼす場合が想定される。
  • 法5条5号の「不当」の判断は、当該情報の性質に照らし、公にすることによる利益と不開示にすることによる利益とを比較考量した上で判断する。
  • 意思決定が行われた後は、審議、検討等に関する情報を公にしても、一般的には、「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当にそこなわれるおそれ」が生じる可能性が少なくなるものと考えられることに留意する。

事務又は事業に関する情報(法5条6号)

  • 適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるの「支障」の程度は名目的なものではたりず実質的なものが要求される。
  • 「おそれ」の程度も単なる確率的な可能性では足りず実質的なものが要求されれる。

監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収(5条6号イ)

  • 事前に公にすると、適正かつ公正な評価又は判断の前提となる事実が困難となる情報。
  • 法令違反行為又は妥当性を書く行為を助長、又は隠匿を容易にするおそれがある情報。

契約、交渉又は訴訟に係る事務(5条6号ロ)

  • 入札予定価格等の公にすることにより適正な価格での契約が困難になる情報。
  • 交渉、争訟等の対処方針等の公にすることにより、当事者として認められるべき地位を不当に害するおそれのある情報。

独立行政法人等、地方公共団体が経営する企業などの経営上正当な利益を害する情報(法5条6号ホ)

  • 私人の企業に対する情報と比べて、保護の範囲が狭いものとなる場合があり得ることに留意する必要がある。

 

部分開示に関す折る判断基準(6条関係)

  • 「容易に区分して除く事ができるとき」以下の場合には開示の義務はない。 
    • どの部分に不開示情報が記載されているかという記載部分の区分けが困難である場合。
    • 区分けは容易であるがその部分の分離が技術的に困難な場合。
  • 「当該部分を除いた部分につき開示しなければならない。」
    • 部分開示の実施にあたり、具体的な記述をどのように削除するかについては、行政機関の長の本法の目的に沿った合目的な裁量に委ねられている。
  • 「有意の情報」が記録されていないと認められるとき」
    • 請求者の意図によらず、客観的に判断される。
    • 同時に開示される他の情報があれば、これも併せて判断する。
以上となります、公開されている審査基準には詳細に説明されていますので興味のある人は読んでみるといいでしょう。
なお、当事務所では情報公開請求に関する代理、代行を行っております。よろしくお願いします。行政機関等に対する情報公開請求書、作成サポートサービス
The following two tabs change content below.

北原 伸介

情報公開請求や公文書の管理に関心が強い行政書士。 taroimo1030@gmail.com (電話)080ー7172ー8669 (FAX)03-6850ー8573 お問合せは無料です。文書に関するものでしたらあらかじめFAXいただくとスムーズです。