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(情報公開請求)音声データは開示できるか?開示請求の対象「行政文書」について

2024年12月25日

情報公開法では、音声データは開示請求の対象となるのでしょうか?開示請求の対象について書いていきます。

 

情報公開法上の「行政文書」

情報公開法上の行政文書は2条2項に定義されています。

2 この法律において「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。
一 官報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの
二 公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号)第二条第七項に規定する特定歴史公文書等
三 政令で定める研究所その他の施設において、政令で定めるところにより、歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別の管理がされているもの(前号に掲げるものを除く。)
条文から読み取れる情報公開の対象となる「行政文書」の要件は
  • 「行政文書」とは、文書はもとより図画、電磁記録を含む記録された媒体であること。
  • 行政機関の職員が職務上作成し、又や取得したもので
  • 職員が組織的に用いるものとして行政機関が保有しているもので
  • ただし書きに該当しないもの
ということが分かります。
職務上のものであるか?組織的に用いるものであるか?などは不服申立などで論点になりやすい部分なので大切です。

音声テープは公開請求できるの?

この記事の題材である音声データの観点から条文を読むと「行政文書」の中には、電子記録が含まれていることから、音声データも、組織共用性を有していれば行政文書に該当するということが言えます。

ちなみに、組織共用が争われた例として平成30年(独情)答申12号があります。

組織共用性が認められれば、行政文書に該当します。

 情報公開法は、行政文書を原則として公開するというところから始まります(情報公位階法5条)。ですので、原則としては、公開される可能性が高いということが言えます。

しかし、次のハードルがあります。

 不開示情報に該当すると行政文書ではあるが開示されないからです(情報公開法5条)。

音声データが問題になる不開示情報の例としては、法5条6号があります。

 令和3年(行情)答申12号では、内閣府HPで公表された、原発事故調査文書を作成する際に聴取した音声データの開示請求に関して審査請求が行われました。
 審査会による答申は「ヒアリングの録音データは,その性格上,公にした場合,行政機関による事故等の原因調査という公益上重要な業務の適正な遂行に重大な支障を及ぼす具体的なおそれがあると認められる」として音声データを不開示とする決定を指示しています。

これに対し、平成24年(行情)答申371号では、議事録を作成すための音声データに関して、「諮問庁が説明するように,録音データの公表により当該部分の発言内容が公になると,委員による率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるとは認められず,法5条5号の不開示情報に該当するとは言えない。また,災害廃棄物の処理方針の取りまとめを目的としている本件検討会の議論の録音内容が公にされることで,発言内容が過大に,広く訴えられること等により,処理方針に基づく市町村等による災害廃棄物の処理事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると見るべき発言も存在しないから,法5条6号柱書きに該当するとも認められない。したがって,本件各会議の録音データについては,いずれも法5条5号及び6号柱書きに該当するとは認めらないことから,開示すべきである。」として、音声データを開示すべきとの答申を出しています。

他の不開示情報について→(情報公開法)黒塗りどこまで。審査基準を読む

開示の対象

情報公開請求の対象は以下のように説明されています。

・「情報公開法要綱案の考え方」(以下、考え方) 「開示請求権制度は、行政機関の保有する情報を処理・加工して国民に提供するのではなく、あるがままの行政運営に関する情報を国民に提供するものであるから、本要綱案では、開示請求の対象を、情報が一定の媒体に記録されたもの(文書)とする。

この「あるがまま」が問題になることがあります。

 例えば、行政機関に対する情報公開を行うとします。
 情報公開請求書に「○○の情報が記載されている部分、不要な部分を除く」と請求したとします。そうすると、不要な部分が除かれた文書ではなく「あるがままの文書」が公開されることとなります。
 また、この場面の公開の実施において、遠方に住んでいるため、すべての文書を郵送により取得したとします。そこで、「コピー代などの費用が余計にかかったこと」を理由に不服申立したとします。このとき、処分庁から「あるがままの文書を開示する制度である。」と反論されることが予想されます。令和4年(行情)答申467号
 ここから、開示請求で、音声データを加工したものを請求できないことが分かります。

まとめ

情報公開法上の「行政文書」とは、文書はもとより図画、電子データを含む記録された媒体であること。

その記録媒体は職務上のものであって、組織的に用いるものでなければ情報公開請求の対象とならないということ。

開示される場合には「あるがままの状態で」公開される。ということ。

行政文書該当を有していても、不開示情報に該当すると開示されないということ。

発展問題として、再生できないデータは開示されるのか?

 上述のように、組織共用性があるデータも行政文書として取扱われ開示することができることが原則です。
しかし、データは、出力できなければ人間が知覚することができません。
 そこで、出力できないデータに関して、開示の実施をどうすべきか?できるか?また、しなければならないか?という問題があり得ると考えます。
 例えば、情報が専用機器がなければ再生できないとかの場合にどうするべきでしょうか?
 上述のように開示請求はありのままの文書を開示することを原則としていますので専用機器で再生した情報を録音することができません。そうすると、閲覧による開示しかできないことになります。遠方の方は厳しいです。
 この場合に、専用機器をPCに繋いで、簡単にデータの変換ができるようであれば、お互いに楽なのですが、上述の「ありのままの開示原則」をとる以上はこの問題を解決できません。
 進んで、その情報のプログラムファイルの中にMP4のデータがあったとします。その場合には開いたファイルをコピーすれば開示は可能となると思いますが、普段アプリケーションで作業している一般公務員に、どこまでのPCに関する知識をもとめるか?も限界として問題になり得るでしょう。
 現在の情報公開実務の中で、上述の「ありのままの開示」原則を、少し修正しているように見える取扱いがあります。
 例えば、ある手引には、「データベースについては、必要なデータのみを検索して出力できることから、既存のプログラム及び処理装置で出力が可能であれば、データベース内の特定のデータのみを開示することは、あり得る。」と書いてあります。
 この取扱いが、「ありのままの開示」原則を修正するものなのかは判然としません。なぜならば、データベースは情報の集合体ですので必要な情報をソートすることが原則の仕様であると考えることもできからです。
 しかし、公務員がソートする「手間」という視点からこの問題を捉えると、データベースからソートすることは「ありのままの開示」よりも、ひと手間かかっているので、「ありのままの開示]原則の修正であると見れなくもないように感じます。
 結局、「ありのままの開示」原則が、何を目的としているスキームなのか?により視点が変わってしまうのです。
メモ
「あるがままの情報」物体そのまま。
「あるがままの行政運営に関する情報」加工できそう。

当事務所の紹介

東京都中野の行政書士事務所である当事務所では、行政機関等に対する情報公開請求に関する相談や代理、代行請求などの事務をおこなっております。どうぞ、よろしくお願いします。
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北原 伸介

情報公開請求や公文書の管理に関心が強い行政書士。 taroimo1030@gmail.com (電話)080ー7172ー8669 (FAX)03-6850ー8573 お問合せは無料です。文書に関するものでしたらあらかじめFAXいただくとスムーズです。